研究実績の概要 |
本研究では、活性点(ピリジニック窒素(pyrrolic窒素やN-C-H(ピリジニック窒素の隣に1つのC-Hが存在するN-SOLO)等)、5-7員環等)を選択的に導入したナノ炭素材料の合成を行った。これらの研究を通して、計算化学(反応分子動力学計算や密度汎関数法によるエネルギー計算)を適用し、構造制御された炭素材料の原料をスクリーニングする技術を確立した。活性点が選択的に導入された炭素材料の合成においては、原料の骨格構造の反応性を利用し、原料を減圧下で加熱するシンプルな方法で構造制御された炭素材料の合成に成功した。例えば、pyrrolic窒素が94%、N-SOLO/SOLO(ベンゼン環にC-Hが1つ存在)が74%、5-7員環が90%制御された炭素材料の合成に成功した。また、炭素材料の構造制御に求められる原料構造構造を明確化するため、種々の分析(赤外分光分析(IR)、Raman分光分析、元素分析、X線光電子分光分析(XPS))に加えて、密度汎関数法による計算や、反応分子動力学計算などを組合せ、炭素材料の分析技術を確立してきた。さらに類を見ない高精度構造解析法の確立を目指し、種々の構造の異なるグラフェンやグラフェンナノリボンのX線光電子分光分析による分析を行った。本研究成果の一部は、論文として3報Acceptされており(Carbon 222 (2024) 118904, Carbon Rep. accepted. https://doi.org/10.7209/carbon.030203, Carbon 213 (2023) 118188)、炭素材料学会等でも発表を行った。
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