研究課題/領域番号 |
21K04780
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
岡 伸人 近畿大学, 産業理工学部, 准教授 (80570209)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 空気極触媒 / バナジン酸塩ガラス / 金属空気電池 |
研究実績の概要 |
自動車など移動媒体用の高エネルギー密度電源として期待される金属空気二次電池に注目し、導電性バナジン酸塩ガラスにより空気極 (正極) 用の新規触媒を開発する。正極活物質として酸素を利用する金属空気二次電池は、空気極 (正極) において酸素の還元反応 (放電; O2 → OH-)・酸素発生反応 (充電; OH- → O2) が起こることで、充放電が可能となる。金属空気電池の性能向上のためには、空気極における放電・充電の電極反応を促進させる優れた触媒が必要とされる。
本研究では、希少金属である希土類元素を使用せず、さらに特定の結晶構造を必要としない「ガラス」により新しい触媒材料を創出する。バナジン酸塩ガラス (例えば 20BaO・10Fe2O3・70V2O5) は適切な熱処理により電気伝導性を有するため、電極材料として使用する際に導電助剤を必要としない。さらにガラスの特徴として、骨格中に適切な触媒元素[3dブロック元素(NiやMnなど)] を均一に配置できると考えられるため、電極反応をスムーズに進行させることができると考えられる。
本年度はCoを添加したバナジン酸塩ガラス空気極触媒を開発し、様々な添加量そして合成条件・熱処理条件を最適化することで、触媒能を向上させることに成功した。とくに熱処理の条件により、空気極触媒としての性能は大幅に変化した。しかし回転リングディスク電極により評価した空気極触媒表面における酸素還元 (放電) 反応の反応電子数には大きな変化が見られなかった。今後は空気極触媒の性能に影響を与える因子についても検討する必要がある。この研究を通して金属空気電池の新規ガラス触媒に関する系統的な知見を得る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はバナジン酸塩ガラス空気極触媒にCoを添加することで、空気極触媒としての性能を向上させることに成功した。また空気極表面における酸素還元 (放電) 反応の反応電子数も回転リングディスク電極により明らかになり、研究はおおむね計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度開発したガラス空気極触媒をベースに、より優れた性能を有する新たな空気極触媒を開発する。さらに合成条件・熱処理条件とガラス表面の電子状態との関係、もしくはガラス表面の電子状態と空気極触媒の性能との関係についても詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
・物品費について:次年度の研究計画において必要となる物品があり、それを購入するため。 ・旅費について:当初発表を予定していた海外の国際会議での研究発表を、コロナ禍の影響もあり、1年後に変更したため。 ・人件費・謝金について:次年度の研究計画を円滑に遂行するために、情報提供者への謝金が必要となるため。
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