研究課題
Chinese hamster ovary(CHO)細胞は、バイオ医薬品の生産宿主細胞として産業利用されており、バイオ医薬品の多くがCHO細胞を用いて製造されている。従来のCHO細胞と比較して、倍速で増加するChinese hamster lung (CHL)-YN細胞をチャイニーズハムスターの肺組織から新たに樹立しており、本課題では、これまでCHO細胞で行ってきた染色体不安定性に着目した細胞育種に加えて、チャイニーズハムスター由来細胞の核型画像解析システムの構築と核型解析、また、CHL-YN細胞の全ゲノムシーケンスによるゲノム配列とDNAメチル化情報の取得を行った。ImageJソフトを用いて前処理(二値化・収縮処理・手動での染色体画像区分け)した染色体のDAPI画像、及び、染色体番号別に異なる疑似カラーで表示可能なマルチカラーFISH画像(最大輝度)を用い、Python言語による染色体の輪郭・色情報抽出プログラムの作成を行い、核型画像解析システムを構築することに成功した。続いて、薬剤を用いてCHO-K1細胞に変異を誘導し単離した細胞を用いて、染色体異常をもつ核型(8番染色体のテロメア領域に欠損があることを明らかにした)と組換えタンパク質の生産宿主細胞としての有用性について解析を行った。また、染色体の安定性が異なる複数の親株を単離し、そのサブクローンの核型解析を行ったところ、染色体不安定性を持つ親株からも一定の頻度で安定な染色体を持つサブクローンが得られ、取得された安定な染色体を持つ細胞は、その性質が後の世代に受け継がれることを示した。従来のCHO細胞とCHL-YN細胞のゲノムの比較については、ゲノム構造の違いやDNAメチル化パターンの違いに関する情報を得ることができた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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