液中に分散したカーボンナノチューブ(CNT)が、ある条件下で、自発的に同期振動する様子が蛍光顕微鏡観察により確認された。溶媒は蛍光色素(ローダミンb)の界面活性剤(Triton-X)水溶液であり、同期周波数はおよそ20Hzである。本研究は、そのメカニズムを明らかにすることにある。 これまでの研究で、同期振動は外部からの振動に無関係であること、非線形数理理論のKuramotoモデルで記述できること、および、液中の複雑ネットワークの熱運動が関与していることを明らかにしてきた。同期におけるフィードバック機構として、色素吸着やワンデルワールス力による動的な可変接合を持ったCNTネットワークを提案した。 最終年度は、同期周波数の制御に挑戦した。界面活性剤濃度やCNT濃度を変化させたところ、20Hz以外にも16Hz付近にピークを観察できた。しかしながら、16Hzピークは予測できない状況で発生し、「制御」は達成できなかった。
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