本研究では,現在広範に研究されているナノサイズより小さなサブナノサイズ(1 nm以下)の金属クラスターに着目し,その前駆体となる金属錯体の精密設計を基盤とした錯体化学的アプローチにより金属サブナノクラスターを発生させ,実践的な不均一系触媒反応へと展開したものである. 主な成果として,活性炭やジビニルシロキサン存在下で白金オレフィン錯体に常温・常圧で水素を作用させると芳香環の水素化に有効なPtクラスターが発生すること,ジルコニアに固定化した酢酸パラジウムから常温・常圧の水素雰囲気下で発生するPdクラスターがカルボニル化合物を用いるアミンの還元的N-アルキル化の優れた触媒となることを明らかにした.
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