研究課題/領域番号 |
21K04852
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
堀 武志 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (30808829)
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研究分担者 |
梶 弘和 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70431525)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / 胎盤幹細胞 / TS細胞 / EVT細胞 / 生体模倣システム / マイクロ流体デバイス |
研究実績の概要 |
妊娠高血圧症候群は、母体と胎児の命を脅かす深刻な妊娠合併症であり、その発症原因の一つとして、胎盤の絨毛外栄養膜細胞(EVT細胞)が母体血管をリモデリングする過程の異常が挙げられる。本研究では、2018年にOkaeらが樹立したヒト栄養膜幹細胞(TS細胞)からEVT細胞を作製し、マイクロ流体デバイス内で血管内皮細胞と共に培養することで、ヒト胎盤で起きる血管リモデリングを再現する胎盤チップデバイスを構築することを試みた。このデバイスを用いて、EVT細胞の動態を再現し、血管リモデリングに関わる因子の解明を試みた。EVT細胞と血管系との相互作用をin vitroで解析するために、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いて、マイクロ流体デバイス内に人工的な血管網を構築した。この血管網は三次元の構造をしており、管腔内部に培養液を灌流することができた。この血管網の近傍の流路に、TS細胞から分化誘導したEVT細胞を導入し、共培養を開始した。その結果、EVT細胞が血管網の方に移動し浸潤していく様子を経時的に観察することに成功した。さらに、この浸潤過程で血管網を構成しているHUVECが押しのけられていくことが明らかになった。EVT細胞のHUVEC方向への移動を定量的に解析するため、EVT細胞の塊を中央に置き、近傍にHUVECから成る血管壁を構築できる共培養モデルを開発した。共培養を開始し、3日間観察した結果、EVT細胞はHUVEC方向に移動すること明らかになった。このことから、HUVECが何らかの因子を分泌し、それをEVT細胞が受容して遊走している可能性が示唆された。今後はこの遊走に関わる因子の同定を目指す。
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