研究課題
これまでの研究により、大気中で強い蛍光発光が観測される条件ではAgクラスターが存在していることが確認されていた。一方で、蛍光がクラスターによるものであると主張するグループもある。そこで、加熱処理されたAgゼオライトが真空中でクラスターが形成されることを利用し、クラスターによる発光があり得るのか、そして発光があればそのエネルギーはどこにあるのかを確認するための実験を行った。加熱処理したAgゼオライトを真空排気することによりAgクラスターを形成する。またその後大気導入することで形成されたクラスターを崩壊させた。これらの過程において蛍光測定・XAFS測定の同時時間分解測定を行うことにより真空排気により形成されたAgクラスターからの新たな発光バンドを観測し、また大気導入によりクラスターの崩壊およびクラスター由来の蛍光が消失することを確認した。これはこれまで観測されていた蛍光発光バンドがクラスター由来ではないことを証明する結果である。加熱処理後と未処理の状態がXAFS測定で区別できないのは、含まれる全てのAgの平均値として得られるのがXAFSの特性であり、発光に寄与するAgがごく一部であるために寄与しないAgの情報に埋もれてしまっているためではないかと推測した。そこで、発光に寄与するAgの割合を増加させるための置換条件を探索した。その結果、蛍光に寄与するAgはUnit Cellあたり1 - 2個であることを突き止めた。そして、その際の発光サイトがソーダライトケージの六員環近傍であることを提案した。
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