研究課題/領域番号 |
21K04872
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中山 幸仁 東北大学, 金属材料研究所, 学術研究員 (50312640)
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研究分担者 |
岡田 純平 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (90373282)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アモルファスシリコン / 走査トンネル顕微鏡 / 構造的不均一性 / クラスター解析 |
研究実績の概要 |
ガラスやアモルファス材料の原子配列は、数学的なランダムではなく局所的な凝集を起因とする不均一性が発現することが示唆されている。この構造的な不均一性を解明するため、これまでX線や中性子回折法を用いた研究が精力的に進められてきた。ところが、これらの回折法では実験データに基づくモデリングにより進められており、原子スケールの局所的な構造的不均一性を評価することは困難である。一方、走査トンネル顕微鏡(STM)は、実空間において表面原子配列を原子スケールで観測することができるので、アモルファス表面の原子座標データを近似なしに取得することが可能である。これにより、原子の座標データが求められ原子間距離や動径分布関数(PDF)が導出できる。更に、これらの座標データに対してクラスター解析法を適用して定量的な指標として活用することができれば、アモルファス/ガラスの原子配列の中に秩序を見出せる可能性がある。 本研究は以下の3項目の達成を目指して研究を推進している。 ①アモルファス表面原子構造を形成する急冷Si(111)表面に対してSTM観測を実施して原子座標データを取得する。また、クラスター解析法は、非階層的手法であるk平均法を検討すると共に、階層的手法である凝集型階層クラスタリングを適応させて解析を進める。 ②実験から得られた実空間データから原子間距離を算出し、定量分析の指標となるPDF解析法を活用するためのプロトコルを確立する。 ③アモルファス中の原子クラスター形成を念頭におき、構造的不均一性発現の条件をPDFやクラスター解析法により見出せるか検証を行う。特に、Si(111)表面においては急冷条件を変化させることにより不均一性の発現条件を見出す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度の後半より東北大学から大阪大学への異動の準備のため、研究の進捗状況が当初の計画よりも遅延した。当初、令和3年度内に、超高真空の実験環境を整備し、その環境下でSi(111)表面の観測、ならびに急冷実験を行い、アモルファス表面の原子座標を求める計画であったが、実際の進捗は超高真空の実験環境の整備に留まっており、表面構造の観測にも至っていない。 令和4年度以降における急冷Si(111)表面に対するSTM観測から原子座標データを取得する計画は、令和3年度の計画において超高真空実験環境の整備が前提のもと成されているため、研究計画全体の第一歩を完了したという状況である。そのため、現在までの進捗状況は遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の遅延を取り戻すため、異動先の大阪大学においてSi(111)表面に対するSTM観測実験装置を迅速に立ち上げ、原子座標データを取得する予定である。また、急冷Si(111)表面において、アモルファス構造の原子座標データを求め、アモルファス中の原子クラスター形成を念頭におき、構造的不均一性をクラスター解析法から導き出せるのか検証を行う予定である。 また、近年、本研究者のグループから液体急冷法を用いることでアモルファスシリコンを量産できることが見出された。本研究成果はバルク状のアモルファスシリコンのサンプルが得られることから、アトムプローブ法を用いることでアモルファスの原子座標データを得ることができないか検討する予定である。これにより当初は2次元の表面原子を研究の対象としていたが、3次元の原子座標データを得ることが期待でき、研究の裾野が拡がる可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度の後半において令和4年度からの異動に備えるため、研究の進捗状況の遅延が生じてしまった。この遅延により、当初予定していた令和3年度中の実験を遂行できず執行予算を下回ってしまった。令和4年度からは研究環境の再整備を迅速に行い、順次にSTM実験を行うことによりアモルファスシリコン表面の原子座標データを得て、遅延した計画を遂行する予定である。
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