• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

パラジウム金合金における触媒活性を示す表面の創製

研究課題

研究課題/領域番号 21K04884
研究機関東京電機大学

研究代表者

小倉 正平  東京電機大学, 工学部, 准教授 (10396905)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード単原子合金触媒
研究実績の概要

近年活発に研究が進められている単原子合金触媒は熱平衡の安定な表面構造のみに限られており,非平衡構造の触媒活性は未解明となっている。本研究ではパラジウム金(PdAu)合金表面において一酸化炭素(CO)などの分子吸着による表面再構成と電子線照射による非熱的な吸着分子の脱離を利用して、原子レベルで制御した非平衡活性サイトの構築を行い、その触媒活性を明らかにすることを目的とする。そして水素のエネルギー利用や化学製品の製造に必要とされているメタンやエタンなどの低級アルカンの分解による水素生成やオレフィン等への改質反応に対して高い触媒活性を示す表面の創製を目指す。
本年度は非平衡活性サイトを作製するために必要な超高真空対応の試料ホルダーの作製、昇温脱離法と反射型赤外吸収分光の実験装置の構築を行った。超高真空中に用意したPd70Au30(110)合金表面を清浄化し,COの昇温脱離スペクトルと反射型赤外吸収スペクトルの測定ができることを確認した。COの赤外吸収スペクトルのCO吸着量依存性とCO吸着後の加熱温度依存性の詳細な測定を行い,試料温度100 K程度でCOを飽和吸着させた後に試料を320 Kに加熱するとCO吸着由来の表面再構成が起こり,この組成の表面においては非平衡なサイトであるPdダイマーのブリッジサイトに吸着したCOが現れることを明らかにした。さらにこの表面再構成が起きた表面からCOを非熱的に取り除いてCOの吸着していない非平衡サイトを作製するための電子銃を購入して超高真空装置に組み込み,電子線の照射と反射型赤外吸収分光の測定を同時に行うことができる実験装置を構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

電子銃の納入が遅れ,予定していた非平衡サイトの構造制御法の確立まで進まなかったため。

今後の研究の推進方策

本年度確認した非平衡サイトに吸着したCOを、電子銃からの電子線を照射して非熱的に脱離させて非平衡サイトを作り出す。COの脱離と非平衡サイトの有無を反射型赤外吸収分光と昇温脱離法により確認しながら非平衡サイトの構造制御法を確立する。
作製した非平衡サイトを持つ表面に100 K程度の低温でメタンなどの低級アルカンを吸着させ、試料を加熱して脱離してくる水素分子、アルカン、オレフィンなどの生成が期待される分子を昇温脱離法により測定して触媒活性を調べる。また同時に表面に吸着している分子の吸着状態を赤外吸収分光により測定し、反応メカニズムに関する情報を得る。面方位・吸着分子を変えた構造の異なる非平衡活性サイトについても行い、反応に適した構造を探索する。平衡サイトのみを持つPdAu合金表面や純粋なAu表面についても上記の測定を行って結果を比較し、作製した非平衡サイトの触媒活性を評価する。
さらに反応速度と反応メカニズムの解明のため,測定された昇温脱離スペクトルのシミュレーションを行う。実験結果に基づいた反応モデルによるシミュレーションプログラムを開発し、反応の活性化障壁と頻度因子をパラメータとして実験を再現する値を求める。得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた真空部品の設計が間に合わなかったため。令和4年度にその部品の購入に使用する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Focusing and spin polarization of atomic hydrogen beam2021

    • 著者名/発表者名
      Nagaya Y.、Nakatsu H.、Ogura S.、Shimazaki K.、Ueta H.、Takeyasu K.、Fukutani K.
    • 雑誌名

      The Journal of Chemical Physics

      巻: 155 ページ: 194201~194201

    • DOI

      10.1063/5.0068251

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quantitative hydrogen state analysis in the leached layer of soda-lime-silica glass by combination of nuclear reaction analysis and C60-X-ray photoelectron spectroscopy2021

    • 著者名/発表者名
      Suehara Michinori、Yamamoto Yuichi、Ogura Shohei、Fukutani Katsuyuki
    • 雑誌名

      Journal of Non-Crystalline Solids

      巻: 574 ページ: 121160~121160

    • DOI

      10.1016/j.jnoncrysol.2021.121160

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impact of chemically grown silicon oxide interlayers on the hydrogen distribution at hydrogenated amorphous silicon/crystalline silicon heterointerfaces2021

    • 著者名/発表者名
      Gotoh Kazuhiro、Wilde Markus、Ogura Shohei、Kurokawa Yasuyoshi、Fukutani Katsuyuki、Usami Noritaka
    • 雑誌名

      Applied Surface Science

      巻: 567 ページ: 150799~150799

    • DOI

      10.1016/j.apsusc.2021.150799

    • 査読あり
  • [学会発表] Measurement of spin polarization of spin-polarized atomic hydrogen beam2021

    • 著者名/発表者名
      H. Nakatsu, K. Shimazaki, Y. Nagaya, H. Ueta, S. Ogura, K. Fukutani
    • 学会等名
      9th International Symposium on Surface Science
    • 国際学会
  • [学会発表] スピン偏極水素原子ビームにおける偏極度の速度依存性2021

    • 著者名/発表者名
      中津裕貴, 島崎紘太, 長屋勇輝, 植田寛和, 小倉正平, 福谷克之
    • 学会等名
      2021年日本表面真空学会学術講演会
  • [学会発表] シュテルン-ゲルラッハ磁石を用いたスピン偏極水素原子ビームの偏極度測定2021

    • 著者名/発表者名
      中津裕貴, 島崎紘太, 長屋勇輝, 植田寛和, 小倉正平, 福谷克之
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会
  • [図書] 図説 表面分析ハンドブック2021

    • 著者名/発表者名
      日本表面真空学会
    • 総ページ数
      576
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      9784254201703
  • [備考] 東京電機大学 表面物性研究室

    • URL

      https://oguradendai.wixsite.com/my-site

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi