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2021 年度 実施状況報告書

電子線タイコグラフィーにおける多重散乱の効果を含めた位相再生法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K04890
研究機関国立研究開発法人物質・材料研究機構

研究代表者

三石 和貴  国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料解析研究拠点, グループリーダー (40354328)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード電子線タイコグラフィー / 位相回復 / 電子顕微鏡 / 4DSTEM
研究実績の概要

近年、あたらしい位相計測手法として注目を集めている電子線タイコグラフィーは、収束プローブで試料上をスキャンし、得られたスキャン各点の透過ディスクから位相を計算により求める手法で、試料に対する自由度が高いが、得られたデータから位相を計算する際に、一回散乱を仮定する運動学的近似が用いられているため、多重散乱が起きる厚い試料への適用が出来ず、得られた位相の定量的な解釈は出来ていない。本研究では再生方法の一つであるPIE(Ptychograhical Iterative Engine)を用いた位相再生において、物体が薄い多層から構成されるとして計算することで多重散乱の影響を取り込んだ位相再生方法を行い、多重散乱の影響が無視できない一般の試料でのタイコグラフィーによる位相再生の正当性を担保するとともに、電池材料のその場観察などへの応用を目的とした。
今年度は計算を行うための計算機環境の整備と、多層での同時PIEを行うコード開発とシミュレーションデータを用いたテスト、実験データの取得を実施した。計算機環境では、PIEの計算には大量のフーリエ変換が必要となるため、GPUを備えた計算機を導入し、CPUにくらべて高速に計算できる環境を構築した。また、計算コードの開発を行い、多波動力学計算によるシミュレーションデータに対する処理を行う事でデバック作業を行った。また、実験データ収集の過程で、Single Side Band(SSB)法での位相再生で使用されていなかった信号を用いての位相再生法を思いつき学会発表を行うと共に論文を投稿予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は計算を行うための計算機環境の整備と、多層での同時PIEを行うコード開発とシミュレーションデータを用いたテスト、実験データの取得を実施し、何れもほぼ当初の計画通りの進捗であった。また、当初予想していなかったSSBでの新しい手法の提案を行う事ができた。

今後の研究の推進方策

大変残念ながら、2021年5月に、多層のPIE計算を原子レベルで適用した論文(Chen Z, et. al, Science 372(6544)2021)が発表され、各層原子の位相変化が定量的に評価可能であることは示されてしまった。そのため、本研究では試料が厚くなっていった時の多重散乱によるタイコグラフィーによる位相再生への影響を定量的に評価し、通常のタイコグラフィー再生の適用範囲を明らかにすることを目的として研究を進める。

次年度使用額が生じた理由

実験の進捗の都合で昨年度購入予定であった消耗品費の一部を次年度購入としたため、次年度使用額が生じたが、今年度購入予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] デフォーカスを活用した電子線効率の高いタイコグラフィー法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      中澤克昭、三石和貴、佐川隆介
    • 学会等名
      第78回日本顕微鏡学会学術講演会

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公開日: 2022-12-28  

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