試料を透過した電子線の位相は、試料の電場や磁場などの情報を含むため大変有用であるが、像や回折図形などの通常の方法では計測することが出来ない。 電子線タイコグラフィーは、位相を計測する手法の一つであり、近年の検出器の高速化・高感度化によって急速に発展している。本研究はその手法の中でも物体が多層からなる事を仮定して再生を行う方法を厚い試料での位相再生に適用することで、厚い試料で問題になる電子の多重散乱による影響を軽減することが出来るかの検討を行った。結果として、通常では位相を正しく求める事が出来ない厚い試料であっても、多層を仮定して計算を行うことで正しく求められる可能性がある事が示された。
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