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2023 年度 実施状況報告書

高精度万能旋光計の原理を取り入れた光イメージング装置の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K04897
研究機関鈴鹿工業高等専門学校

研究代表者

三浦 陽子  鈴鹿工業高等専門学校, 教養教育科, 准教授 (20456643)

研究分担者 真中 浩貴  鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (80359984)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードイメージング技術 / 旋光性 / 複屈折 / 機械学習
研究実績の概要

本研究では, 温度や電場を変化させながら, 旋光性と複屈折のイメージング像を同時に, なおかつ効率的に, 短時間で取得できる測定システムを構築することを目指してきた。昨年度までの研究より, 解析精度を犠牲にせずに, 計算コスト低く抑えることが重要であることが分かっていた。そこで今年度は実験データの最適なマイニング方法を確立することを目指した。
従来の光イメージング像の解析では, 数万画素分のデータの中からなるべく均一な小さな領域を抽出して解析を行ってきた。しかし多くの試料では大きな複屈折の上に小さな旋光性が重畳しているため, 本解析手法では複屈折の分布に僅かな乱れがあるだけでも, その乱れを平均化することで旋光性の情報が埋もれてしまう可能性があった。さらに大きな問題として, 解析領域の選択に恣意性が排除できないことがある。そこで本研究では機械学習を用いて1画素単位で, なおかつ全データをまとめて解析できる手法を開発してきた。
一般に機械学習は線形統計学を基礎として構築されている。偏光状態は周期性を持った角度データで表されているため, そのままでは既存の機械学習に入力することは難しい。そこで本研究では, 方向統計学を用いて, 角度データを機械学習に適した形式へと変換する方法を確立した。複屈折と旋光性を分離するためには, 波長の違いによる偏光状態の変化を解析する必要がある。しかし計算コストが高いため, 全データをまとめて解析することは困難であった。そこで最終結果に影響を及ぼさない範囲内で, 情報量を削減する方法も確立した。このような前処理を行ったデータに対して教師なし機械学習の代表例であるK-meansクラスタリング法を実行した結果, 特徴量の傾向が異なる複数のグループに分けることに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

方向統計学を適用した機械学習の確立に時間を要したため, 複屈折と旋光性を効率的に分離する具体的な検証が十分に実施出来なかった。しかし機械学習の目処は立ったので, 来年度には本研究は完成する予定である。

今後の研究の推進方策

K-meansクラスタリング法を用いて, 特徴が異なる複数のグループに分ける方法を確立した。本成果によって, グループ毎に平均化すれば, 大きな複屈折の中に埋もれている小さな旋光性の情報を抽出できるはずである。さらに測定誤差を考慮したベイズ推定法を取り入れることによって, 小さな旋光角を抽出する方法を確立する予定である。

次年度使用額が生じた理由

方向統計学を適用した機械学習の確立に時間を要したため, 複屈折と旋光性を効率的に分離する具体的な検証が十分に実施出来なかった。解析手法の目処は立ったので, 成果をまとめ, 学会や論文で積極的に発表するために予算を執行する予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] Observation of Ferroelectricity in Two-Dimensional Antiferromagnet (C<sub>2</sub>H<sub>5</sub>NH<sub>3</sub>)<sub>2</sub>CuCl<sub>4</sub> Using Birefringence Imaging Techniques2023

    • 著者名/発表者名
      Miura Yoko、Ibushi Ryusei、Manaka Hirotaka
    • 雑誌名

      JPS Conference Proceedings

      巻: 38 ページ: 011142(1)-(6)

    • DOI

      10.7566/JPSCP.38.011142

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Stress-Induced Ferroelectricity in Quantum Paraelectric SrTiO<sub>3</sub> Observed by Birefringence Imaging2023

    • 著者名/発表者名
      Manaka Hirotaka、Uetsubara Koki、Miura Yoko
    • 雑誌名

      JPS Conference Proceedings

      巻: 38 ページ: 011112(1)-(6)

    • DOI

      10.7566/JPSCP.38.011112

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Improvements of birefringence imaging techniques to observe stress-induced ferroelectricity in SrTiO <sub>3</sub> based on <i>K</i> -means clustering with circular statistics2023

    • 著者名/発表者名
      Toyoda Kensei、Manaka Hirotaka、Miura Yoko
    • 雑誌名

      Science and Technology of Advanced Materials: Methods

      巻: 3 ページ: 2278322(1)-(11)

    • DOI

      10.1080/27660400.2023.2278322

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 階層ベイズ推定を用いた応力下SrTiO3の強誘電状態の観察2024

    • 著者名/発表者名
      豊田 健晟, 三浦 陽子, 真中 浩貴
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
  • [学会発表] 機械学習を用いた磁性強誘電体(C2H5NH3)2CuCl4の物性評価法の開発2024

    • 著者名/発表者名
      真中 浩貴, 白神 英治, 豊田 健晟, 三浦 陽子
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
  • [学会発表] 複屈折イメージング測定による応力誘起強誘電体SrTiO3の分域観察に適した温度系列分析法の開発2024

    • 著者名/発表者名
      真中 浩貴, 豊田 健晟, 三浦 陽子
    • 学会等名
      第71回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 量子スピン系における計測インフォマティクスの発展2024

    • 著者名/発表者名
      真中 浩貴
    • 学会等名
      第19回量子スピン系研究会
  • [学会発表] 機械学習を用いた応力誘起強誘電体SrTiO3の強誘電分域の特定2023

    • 著者名/発表者名
      豊田 健晟, 三浦 陽子, 真中 浩貴
    • 学会等名
      日本物理学会 2023年秋季大会
  • [学会発表] 機械学習による応力誘起強誘電体 SrTiO3における複屈折量の温度変化の解析2023

    • 著者名/発表者名
      豊田 健晟, 三浦 陽子, 真中 浩貴
    • 学会等名
      2023年度応用物理学会九州支部学術講演会
  • [学会発表] リカレントニューラルネットワークを用いた複屈折像の解析手法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      片山 翔大, 豊田 健晟, 三浦 陽子, 真中 浩貴
    • 学会等名
      第129回日本物理学会九州支部例会
  • [学会発表] 機械学習を用いた磁性強誘電体(C2H5NH3)2CuCl4の複屈折像の解析2023

    • 著者名/発表者名
      白神 英治, 豊田 健晟, 三浦 陽子, 真中 浩貴
    • 学会等名
      第129回日本物理学会九州支部例会
  • [学会発表] ベイズ推定を用いた応力誘起強誘電状態 SiTiO3の解析2023

    • 著者名/発表者名
      豊田 健晟, 三浦 陽子, 真中 浩貴
    • 学会等名
      第129回日本物理学会九州支部例会

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公開日: 2024-12-25  

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