研究課題/領域番号 |
21K04905
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
庭瀬 敬右 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (50198545)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 黒鉛 / ダイヤモンド / 欠陥 / 中性子照射 / ボールミリング / 高圧高温 / 衝撃圧縮 |
研究実績の概要 |
高エネルギー粒子線照射やボールミリングなどの極限環境に置かれた物質は不安定な非平衡状態にある。そのような物質は,温度や圧力などの更なる外的極限環境によって,新たな物質に変化する可能性がある。本研究の目的は,高エネルギー粒子線照射やボールミリングによる欠陥導入によって,物質の非平衡状態を創り出し,それらの試料がもつ不安定な欠陥を用いて新たな物質創製の方法を見出すことである。また,そのようなプロセスで導入された新たな物質や導入した欠陥がどのような特徴や役割を持つかを明らかにすることである。 中性子照射黒鉛を用いた衝撃圧縮や高圧高温下での実験によって,これまで我々は,アモルファスダイヤモンドや多結晶ダイヤモンド,圧縮黒鉛などの新たな炭素系物質が生成されることを見出している。一方,新たな炭素系物質創製のための原料として用いられる中性子照射黒鉛での欠陥導入は原子炉内で行われるために,試料の取り扱いやその生成が容易ではない。そのため,現在,ボールミリングによって中性子照射試料と同様な試料が形成される可能性を調べている。特 にミリング条件への依存性を調べるために,ボールの種類を変えて系統的に調べている。また,熱的に安定した欠陥の生成条件を明らかにするために,密度の異なるボールを用いた実験を行っており,窒化ケイ素のボールが安定な欠陥生成の境界条件の密度と予測されるので,その実験を進めている。 今年度は,これまでに得られた結果を,表面真空学会やダイヤモンドに関する材料の国際会議,日本金属学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中性子照射黒鉛を用いた高圧高温下の新たな物質創成に関しては,高圧高温実験によりバルク試料を作成して調査を行う実験を共同研究で行っている。特に圧縮黒鉛の生成条件や構造を明らかにするために高圧高温条件を変化させて,バルクの回収試料を得て解析を行っている。 国内の学会や国際会議,論文として積極的に発表することを一つの目的としているが,今年度は,表面真空学会やダイヤモンドに関する材料の国際会議,日本金属学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
欠陥エンジニアリングの見地から,照射によって生成された欠陥が,圧力や温度を上昇させた場合に,欠陥がどのように構造変化に関して関わっているかを明らかにすることは重要である。そのためには,様々な条件での変化を調べる必要がある。我々は,これま で衝撃圧縮や静水圧環境での材料の変化を調べている。今後,新たな結果を積み重ねて,それらを対比することにより,その変化のプロセスを浮かび上がらせる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
投稿論文などが予定通りに進まなかったので,次年度の使用額が生じた。次年度には,そのような経費に使用予定である。
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