研究課題/領域番号 |
21K04913
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
末廣 隆之 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (20421406)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 窒化物 / 多元系化合物 / 光触媒 / 蛍光体 |
研究実績の概要 |
本年度は水分解光触媒として有望なゲルマニウムおよびガリウムを構成元素に含む、従来にない五元系ウルツァイト窒化物の合成を目標とした研究を実施した。 研究代表者により開発された四元系ウルツァイト窒化物であるZnGeGaN3と、これまでに物性の詳細が報告されていない三元系ウルツァイト基窒化物LiGe2N3の固溶体化を試みた結果、新規五元系窒化物Li1-xZnxGe2-xGaxN3の生成が可能となることを見出した。最初のキャラクタリゼーションとして端組成であるLiGe2N3に関する粉末中性子回折プロファイルの解析を行い、リチウムの原子位置を始めとする従来にない正確な結晶構造データを得ることに成功した。次にX線粉末回折により、本系では二次相等を生成することなく全率固溶が達成され、構造中のカチオン配列がLiGe2N3における完全整列状態からZnGeGaN3における完全にランダムな状態まで連続的に変化することを明らかにした。各組成に関し71Ga NMR測定を行った結果、x値の低い組成域ではガリウムはイオン半径の近いゲルマニウムのサイトに選択的に固溶し、x値の増大によるリチウムおよびゲルマニウムサイトの反転が進行することに伴い、リチウムサイトへの固溶によるスペクトル分岐が観測されることを確認した。またICP発光分析による組成分析結果からは、カチオン組成の目標値からの逸脱が約2%以内であることが示され、量論組成に近い理想的な粉末試料が得られたことが確認された。紫外-可視拡散反射スペクトルの測定により、本系において約4.2 eV (300 nm)の紫外域から約3.0 eV (410 nm)の可視光域に至る広範なバンドギャップ制御が可能となることが示され、水分解反応に必要な電位を確保しつつ、比較的広範な太陽光スペクトルへの応答性が期待出来る光学特性が達成されたことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に基づき、独自の合成手法を用いて新規な高次多元系ウルツァイト窒化物を合成することに成功した。また当初の研究計画に従い、開発材料のキャラクタリゼーションをほぼ完了することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
開発した新規五元系ウルツァイト窒化物に関し、水分解光触媒活性の評価に早期に着手する。 引き続き独自の物質探索指針に基づき、水分解光触媒および白色LED用蛍光体材料として有望な新規窒化物の合成に関する研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初導入予定装置の交付額内での購入が困難となり、物品費に未使用額が生じた。 当年度未使用額は次年度代替装置の導入費用として充当する予定である。
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