研究課題/領域番号 |
21K04914
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
赤羽 浩一 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワーク研究所, 副ラボ長 (50359072)
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研究分担者 |
富永 依里子 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 准教授 (40634936)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ビスマス / 量子ドット / 分子線エピタキシー / 半導体レーザ |
研究実績の概要 |
本研究課題では完全に温度無依存な半導体レーザ実現のため、Bi系半導体量子ドットの形成法を確立することを目的とする。2021年度はBi系材料の検討が少ないInP系材料へのBi混入のための研究とGaAs系材料におけるInAs量子ドットへのBi混入に関する研究を行った。どちらの研究も分子線エピタキシーにより結晶成長を行った。 InP系材料へのBi研究の混入に関する研究では、Bi混入のための結晶成長温度の検討、Bi供給量の検討などを詳細に行い、最大で2%以上のBiが混入されたInPBi結晶成長に成功した。この知見は実際の半導体レーザ構造作製の際の基礎パラメータとなるため、非常に重要な結果が得られたことになる。今後半導体レーザ構造の作製に必要な多元系材料への展開を予定している。 GaAs系材料におけるInAs量子ドットへのBi混入の研究では、InAs量子ドット形成時にBiを照射することにより、量子ドットの形状が大きく変化する現象を確認した。これはBiのサーファクタント効果によるものと考えられ、表面が平坦化し、量子井戸構造になっているものと考えられる。これに対してBiを混入しつつも3次元的なキャリアを閉じ込めるInAsBi量子ドットを成長するための検討として、液滴エピタキシーの検討をおこなった。これによりBi液滴の形成に成功した。これを用いることによりInAsBi量子ドットの形成を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は予定していたBi材料をInP系、GaAs系の材料に混入するための基礎検討を行った。結晶成長における基本的なパラメータ抽出とともに、Bi混入自体やInAs量子ドットへの適用の際に明らかになった技術的課題を独自の手法で解決し、2年目以降の展開に対して見通しを立てられたため、研究の進展は概ね順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
InP系材料においては半導体レーザの光導波路形成に必要な多元系材料へのBiの混入に関して検討を行う予定である。これに加えてInP系材料におけるInAs量子ドットへのBi混入に関しても検討を行う予定である。GaAs系材料におけるInAsBi量子ドット形成に関しては液滴エピタキシーで得られたBi液滴を結晶化する方法の検討、およびBi照射によって量子井戸構造になったInAsBiをアニールなどの後処理により量子ドット化する方法などを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022度の応用検討の際により多くの物品および材料費が必要となることが判明したため、2021年度は極力効率的に予算を執行した。これにより次年度使用額が発生した。
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