• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

数サイクル超短パルス光発生のための高パワーレーザーのコヒーレント結合と位相評価

研究課題

研究課題/領域番号 21K04918
研究機関東京大学

研究代表者

岩崎 純史  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (30447073)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードフェムト秒ファイバーレーザー / ピエゾ制御ミラー / 温度ドリフト
研究実績の概要

2021年度には実験室整備の遅れのため、レーザー装置の性能評価が遅れていたが、2022年度には実験室の整備を終え、レーザー装置の性能評価が開始できる状況が整った。2022年度には、まずこれまで構築したレーザーシステムの更新を行った。イッテルビウム(Yb)フェムト秒ファイバー発振器として非線形偏波回転によるモード同期レーザーを用いていたが、発振が不安定になる場合があるため、Figure-8型発振器を導入して常にパルス発振動作するようにした。また、一部の増幅器内の部材に不具合や透過バンド幅の不一致がみられたため、パルス伸長器をChirped fiber blagg grating(CFBG)から200mのPMファイバーに変更した。自己相関計による測定によって伸長後のパルス幅は約150 ピコ秒である。
このパルスを用いて、高出力Ybロッド増幅器出力のコヒーレントビーム結合に着手した。具体的には、パルス伸長したレーザービームを、2021年度に構築したビーム分離光学系によって二つに分離して、まず増幅せずそのまま結合する試験を行った。2つのアームの片側にピエゾ制御ミラーとピコモータ制御したミラーを導入し、それぞれsub-nmと数 nmの制御に用いた。ピエゾミラーは1040 nmの波長の光1/2^8 周期の精度で原理的に動作が可能である。これらの光学系にガイドレーザーを導入して、合波後に干渉信号を10時間測定したところ、2つのアームの光路差自体に約100 nmのドリフトが見られ、主に環境の温度変化によるものと考えられる。そこで、今後は環境のドリフトの影響を抑えながら、結合制御系の構築と検証に着手する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初、期待していたより外部環境の2つの光路差ドリフトへの影響が大きいことが明らかになった。実際には、2つの増幅器自体の位相差に対して無視できる程度に環境の影響を抑えなければ、合波制御が実現できないと考えられる。そこで、温度変化の影響を防ぐために、ビームスプリッタで分離した後、それぞれの光路を別々に温度制御することを検討している。また、当初用いていたファイバー発振器のパルス幅や強度変動が起きたため、ファイバー部品が壊れる、パルス強度が変化するなどの問題があった。そこで、非常に安定なモード動作をすることで定評のあるFigure-8型のファイバ発振器を導入して、強度不安定であった原因を解消するとともに、増幅器の構成を発振器の性能に対応して一部変更した。これらの対応を行なっていたため、研究進捗は当初の予定よりやや遅れているが、この発振器をシード光とした新しいファイバーチャープパルス増幅システムの構築が出来たため、学会等で成果の発表を予定している。

今後の研究の推進方策

今後、環境による光路差のドリフトの影響を抑えながら、合波制御系を構築と検証を進めていくこととした。環境の影響を温度制御によって抑えながら、増幅器を挟まずに二つのアームの光を合波する。この際、結合光学系より一部取り出して結合制御系で位相差測定を行い、ピエゾミラーにフィードバックして結合を行う。その時の知見をもとに、2つのロッド増幅器の結合を実現して長時間合波を実現するとともに、マルチパスセルによるパルス圧縮に必要な技術的要件を検証する。

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi