研究実績の概要 |
本研究はひねり干渉計による光の空間モードの操作について、その基本的な性質を明らかにするとともに、より安定かつ広帯域に適用可能な新しい干渉計を実現することを目的としている。ひねり干渉計は入力ビームを2つに分けて、互いに直交する方向にそれぞれ位置と運動量をずらし、位相差πで重ね合わせることで空間モードを変換する。令和4年度は新しい共通経路ひねり干渉計について研究を進め、広帯域光源の選定をほぼ完了した。 新しいひねり干渉計は微小な位置と運動量のずれをバランスよく安定に導入することを目的としたものである。前年度に設計に着手した複屈折素子と円筒面レンズの組み合わせによる共通経路干渉計について、複屈折素子を選定・入手して構成を進めた。位置と運動量のずれを調整する過程で発生する、「ひねり」の軸の回転を正しく再現するシミュレーションのプログラムを整備し、理論と実験の比較の準備を進めた[Numakura他, OMC2023 (2023)]。円筒面レンズの副作用を除去するための工夫についても検討を行った。 広帯域光源は共通経路干渉計の設計に合わせて仕様を決定し、機種選定をほぼ完了した。また高次モードを入力モードとする実験に向けて、入力モードの純粋度を上げる実験手法についても検討を進めた[Miyamoto, ICFAST-2022 (2022)他]。 これらと並行して、円筒面レンズを含む光学系における高次空間モードの振る舞いについての検討[Miyamoto, Optica Biophotonics Congress (2023)]や偏光状態の空間分布の詳細な撮影[Akter他、Optics and Photonics Japan 2022 (2022)]等について成果を得た。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額2,493,347円が生じた主な原因は、購入を予定していた広帯域光源について機種の最終決定を令和5年度当初に変更し、付随した物品の購入もなかったためである。 令和5年度請求額と合わせて次年度は2,793,347円を使用する。広帯域光源は1,500,000円を見込んでいる。この他に物品費(843,347円)は共通経路ひねり干渉計の改良および広帯域化のための光学部品等を購入する。旅費(200,000円)は国内会議での研究発表を予定している。その他(250,000円)は論文投稿費や学会参加登録費に使用する。
|