研究課題/領域番号 |
21K04931
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
佐中 薫 東京理科大学, 理学部第一部物理学科, 准教授 (00450172)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 量子もつれ光 / 誘導放出 / サニャック干渉計 |
研究実績の概要 |
本研究室においては、本研究室で開発された「量子干渉効果による無条件の量子もつれ光発生」の手法、および独自の量子光学実験装置により、近赤外光において誘導放出による量子もつれ光の増幅効果を確認した。この増幅された量子もつれ光子を量子トモグラフィーの手法により解析し、信頼度などのパラメーターを算出した。まだ同時に増幅度を拡張した場合に生じる問題点や実験に使用している装置による限界などを理論的に解析した。
量子もつれ光子の増幅度については3~4倍、信頼度については70~80%の値を確認し、実験系の改良によりさらなる増幅度と信頼度の向上に取り組んでいる。理論の結果、量子もつれ光子対(2光子の場合)共振器による往復回数の二乗に比例する値で量子もつれ光子を増幅させることが可能であり、また高次の量子もつれ光子(4光子以上の場合)にはさらなる増幅が可能になることが一般的な理論として導出することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
近赤外光において誘導放出による量子もつれ光の3~4倍の増幅効果を確認したが、この増幅された量子もつれ光子を光ファイバーに効率よく接続させ、効率よくファイバー内の希土類原子と相互作用させることが技術的に難しく、希土類原子の種類を変えるなどの工夫を行って改良に取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
誘導放出された量子もつれ光子の信頼度が十分であることについてはほぼ確認できたので、次にこの光子を光ファイバーへ接続して光ファイバー中の希土類原子と効率よく相互作用させることに取り組む。これまでファイバー中の希土類原子としてはイッテルビウムを想定していたが現在の量子もつれ光子の波長がネオジウムのエネルギー準位の値とほぼ一致することから、ファイバー内ネオジウムとの相互作用についても同時に取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
書籍および少額電子部品などを購入予定だったが、年度末までの購入が難しかったため断念した。新年度に購入予定。
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