研究課題
核融合プラズマ研究の分野では、プラズマ中の電子密度や磁場分布を計測するために、素粒子物理学の実験分野では、ニュートリノ崩壊光子検出器の開発のために、波長50 μm帯(周波数6 THz帯)の短波長遠赤外レーザーが強く求められている。しかし、この波長帯域で高出力かつシングルモード発振可能な遠赤外レーザーは未だ実現できていない。そこで本研究では、(1)アウトプットカップラー(レーザー出力鏡)の光取り出し効率の向上による高出力化と(2)レーザー管の細径化によるシングルモード化を並行して進める。波長50 μm帯の遠赤外レーザーに対する高効率の光取り出し技術および横モードの制御技術を確立し、高性能の短波長遠赤外レーザーを実現する。本研究により得られる結果は、遠赤外レーザー光を必要とする多くの研究者にとって重要であり、各分野の学術研究の向上に大いに役立つものである。本研究では、光励起の導波管型遠赤外レーザー装置を用いて、CO2レーザー励起で発振する波長50μm帯のCH3ODレーザーの高出力化とシングルモード化を試みる。アウトプットカップラーの最適化による出力増加の効果、レーザー管の細径化による高次横モードの抑制を明らかにするために、(1)薄膜の光学定数測定、(2)アウトプットカップラーの設計・製作、(3)レーザー管の設計・製作、(4)レーザー発振特性の測定、(5)ビーム品質の測定を行う。2021年度は、レーザー出力鏡の基板と多層膜材料の調査を行い、試験的にレーザー出力鏡を設計・製作し、レーザーの発振試験を行った。2022年度は、高効率化のために多層膜材料であるGe、CsI、ZnSの単層薄膜を製作し、その光学定数を測定し、新たにレーザー出力鏡を設計・製作した。2023年度は、製作したレーザー出力鏡をレーザー装置に取り付け、レーザー発振特性の測定およびビーム品質の測定を行った。
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Plasma and Fusion Research
巻: 18 ページ: 1402062
10.1585/pfr.18.1402062