研究実績の概要 |
本研究では、全光制御型の能動モード同期超短パルスファイバーレーザーの開発を目的とする。具体的には、パルス捕捉現象による非線形光ループミラー(NOLM)を用いた強度変調器を開発した。さらに、それを用いて能動モード同期Er添加超短パルスファイバーレーザーを開発した。 本年度は、提案する能動モード同期レーザーの高性能化を目指し、パルス捕捉現象によるNOLMを用いた強度変調器の応答性能の評価を行った。ここではモードロッカーとして利用するNOLMへ信号光と制御光を入力した。信号光として、測定を容易にするためにバンドパスフィルタで波形を整形し、中心波長1544 nmの超短パルス光を用いた。制御光として中心波長1594 nmの超短パルス光を用いた。これらは、NOLMに利用する偏波保持ファイバーにおいて群速度整合条件を満たす波長関係である。NOLM内で2つのパルス光が時間的に重なるように遅延線(空間系)を用いて調整した。出力光を光増幅器により増幅したのち自己相関計により時間幅を測定した。 NOLMのファイバー長を10 mとして制御光(5 mW, 50 MHz)を入力すると、NOLM出力においてパルス時間幅1.5 psの超短パルス光が得られた。モード同期発振において超短パルスを得るためには十分な応答性能であると考えられる。ファイバー長を5 mと短くすると、出力パルスの時間幅は短くなり1.3 psであり、さらに高速な応答が期待できる。このときモードロッカーの透過率は10%程度であった。ファイバー長を20 mとすると透過率が21%まで向上したが、時間幅は3.1 psまで拡がった。制御光による非線形位相変調の効果を長く受けるが、波長分散によりパルスが拡がるためだと考えられる。
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