研究課題/領域番号 |
21K04940
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 章夫 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50362265)
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研究分担者 |
遠藤 知弘 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (50377876)
丸山 修平 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 高速炉・新型炉研究開発部門 大洗研究所 高速炉サイクル研究開発センター, 研究職 (70742170)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 炉心解析 / 断面積調整 / 連続エネルギーモンテカルロ / 代理モデル / ベイジアンモンテカルロ法 / Unscented Transformation |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、計算モデル誤差の影響を受けない、実験データの質に依存しにくい、誤差として正規分布の仮定を必要としない、などの特徴を有する断面積調整法を確立することである。2021年度は、以下の取組を行った。 ①連続エネルギーモンテカルロ法に対するActive Subspace (AS)法の適用性確認:連続エネルギーモンテカルロ法で得られる様々な核特性パラメータに対して、実効増倍率に対する感度係数を用いてASを構築し、種々のパラメータに対する感度係数の評価における有効性を調査した。また、構築したASを用いて、連続エネルギーモンテカルロ法により断面積の感度係数を算出し、その断面積を用いて連続エネルギーモンテカルロ法と同等の計算結果を出力する代理モデルの構築を試みた。これらの結果、ASにより得られた感度係数と線型モデルを用いることで、断面積変化に対する核特性の変化を予測する代理モデルを作成可能であることを明らかにした。 ②AS+BMC法を用いた断面積調整の理論検討:これまで研究代表者・分担者らが用いてきた粒子フィルター法などの経験を元に、ASを使用したBayesian Monte Carlo(BMC)による断面積調整の理論を検討・構築した。また、Generalized Linear Least-Squares (GLLS)法やMonte Carlo Bayesian Analysis(MOCABA)法などの既存の断面積調整法についても理論の整理を行った。 ③BMC法を用いた断面積調整の検討:単純な体系(小型臨界実験装置Godiva)で実施された臨界実験を対象として、GLLS法、MOCABA法, BMC法の性能の評価を行った。その結果、Unscented Transformation (UT)変換と組み合わせ、探索空間の次元を圧縮することでBMC法により効率的な断面積調整が可能であるとの見通しを得た。 ④実機体系への適用:革新炉実機体系への①~③の成果の適用性について検討するため、必要となるシステムの構築に向け、現有する革新炉の炉心解析システムの課題抽出を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2021年度に予定していた計画は全て実施した。また、2022年度に予定していた計画の一部(BMC法を用いた断面積調整の検討)を前倒しで2021年度に実施することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
①連続エネルギーモンテカルロ法に対するActive Subspace (AS)法の適用性確認については、2021年度の検討において概ね見通しが得られたものと考えている。2022年度においては、適用する体系を増やすことで、適用範囲や適用限界に関する知見を得ることとしたい。 ②AS+BMC法を用いた断面積調整の理論検討については、2021年度の検討により、ほぼ終了したものと考えている。2022年度については、特にノイズや外れ値などの取り扱いについて検討を進めることとしたい。 ③BMC法を用いた断面積調整の検討については、2021年度に実施したGodiva体系における経験を元に、適用する体系を増加させる。また、ノイズは外れ値などの取り扱いについて、理論検討の結果を受けた数値解析を進める。 ④調整された断面積データを実機体系で利用するためには、現有システムにおいて利用可能な形式の断面積ライブラリに変換を行う必要があり、そのためのツールの開発を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
主として、国内及び海外渡航旅費の所要額が少なかったことによる。
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