研究課題/領域番号 |
21K04949
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
南川 卓也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (30370448)
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研究分担者 |
関根 由莉奈 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究副主幹 (00636912)
山田 鉄兵 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10404071)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高分子錯体 / ハイドロゲル / 吸着剤 |
研究実績の概要 |
本研究では放射性元素を選択的に除去できる配位高分子の開発を行いながら、配位高分子をハイドロゲルと一体化した複合材料開発を行い、ウラン等放射性元素や毒性を持った元素に対して高い選択性を持つ吸着剤及びセンシング材料の開発を遂行する。研究で完成した吸着剤やセンシング材料は海外を含めた分野横断的な研究協力体制を作り、複合材料の物性を最大化しながら、放射線や有害物質を測定する小型センサーの応用開発も試みる。 研究計画に従い(a) 放射性元素を選択的に除去できる配位高分子の開発を行いながら、(b) 配位高分子をハイドロゲルと一体化した複合材料開発を行い、(c) 原子力などの実用的用途を想定した吸着剤やセンシング材料開発の可能性を探索している。その結果今年度までは、(a) については、鉛を選択的に吸着分離できる材料について1報の論文発表を既に行っている。また、放射性元素についてこれまで以上に選択的に吸着分離できる材料を得ることができ、もう1報の論文を発表予定である。これらはセンシング材料としても非常に有用であることが示されている。また(b) については、実際に吸着剤とハイドロゲルを一体化した材料の合成を行い、これまでになく簡易な方法で、安定な材料を得ることに成功した。今年度はその下準備のセルロースに関する論文を1報発表するとともに、来年度論文発表予定である。(c) については、原子力や医学分野への応用も含めて実際に検討中であり、それを踏まえた特許の申請を現在行っている最中である。全体として、基礎的な研究計画はほぼ終えており、ノースウェスタン大学や東北大学、岐阜大学医学部等と連携しながら、センシング材料の実用化についても計画以上に早く研究が進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
既にイオン選択的な配位高分子の論文を発表し終え、最終年度にも発表の準備が整っている。また、ハイドロゲルと配位高分子の複合化には、これまでの成功例がほぼない中で、簡易で安価な手法で成功しており、これも来年度論文発表予定である。2年目の終了時点で、ほぼ基礎段階の研究を終えており、非常に良く進展している。現在は、ノースウェスタン大学や東北大学、岐阜大学の医師らとこの材料をセンサーにする特許を作成中であり、特許申請が進めば、幅広く実用性を検討していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度最初のころに必要であった元素分析やX線回折などの装置利用費の予算は、新型コロナウイルスなどの影響により当初計画通りに使用できなかったことから、今年度における支出額が予定よりも少額になり、次年度使用額が生じることとなった。次年度使用額は、センサーや吸着剤の実用化に向けた実験に用いる物品等の購入や、既に成果を上げた研究について発表するための出張費に係る費用として使用する。これら以外は、当初の予定通り、これまでに得た基礎的な研究の論文発表を進めながら、実用化に向けて特許を申請するとともに、センシング材料の利用を幅広く行いながら、研究を世界に発信していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度初めから秋ごろにかけて実施を予定していた測定を目的とした出張や消耗品の購入について、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、当初計画どおりに実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、次年度分研究費と合わせて、出張に係る費用や消耗品の購入費用として使用する。
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