研究課題/領域番号 |
21K04960
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
高橋 亮平 秋田大学, 国際資源学研究科, 准教授 (10396286)
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研究分担者 |
AGANGI ANDREA 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (20840812)
今井 亮 九州大学, 工学研究院, 教授 (90223304)
Manalo Pearlyn 秋田大学, 国際資源学研究科, 助教 (50895480)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 熱水鉱床 / 金属資源 / 流体包有物分析 / 近赤外顕微鏡観察 |
研究実績の概要 |
熱水鉱床は、貴金属-ベースメタル-レアメタル元素といった人類にとって有用な金属資源の濃集場である。本研究は、資源開発企業による開発、資源探査と新規鉱体を確保するための探鉱が継続されている各種の熱水鉱床を主な研究対象とし、鉱脈に含まれる流体包有物について、近赤外-可視光による顕微加熱冷却実験と四重極型質量分析計によるガス組成分析を行い、その他の鉱床学研究手法と合わせて、鉱床形成条件とメカニズムを解明すると共に、鉱床探査と探鉱の指針となるデータを提供することを目的とする。 令和3年度に行った研究は以下のとおりである。1)鹿児島県・菱刈鉱床の石英脈の全岩化学組成分析、顕微鏡観察、SEM-CL分析、流体包有物分析を行った。2)同県の南薩型金鉱床の鉱石の全岩化学組成分析、顕微鏡観察、硫黄同位体分析を行った。3)フィリピン・Mankayan鉱床地域、Lepanto鉱床の変質岩のXRD分析、鉱脈の全岩化学組成分析、EPMA分析、顕微鏡観察、流体包有物分析、硫黄同位体分析を行った。4)その他の複数の熱水鉱床(インドネシア・中央ボルネオのベースメタル-銀鉱床、同・中央ジャワとスラウエシ島の金鉱徴地、同・スンバワ島の斑岩銅-金鉱床、タイ・カンチャナブリの錫-タングステン鉱床、中央モザンビークの金鉱徴地、秋田県の黒鉱鉱床など)を対象とする各種の室内実験を行った。5)以前に取得した熱水鉱床の流体包有物のガス組成データの解析を行った。特に令和3年度は、近赤外CCDカメラを導入し研究環境を整え、これを用いて、Lepanto鉱床産の硫砒銅鉱、菱刈鉱床産の輝安鉱、その他の硫化鉱物/硫塩鉱物に含まれる流体包有物の顕微鏡観察と均質化温度の測定に関わる基礎実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象として予定している4つの鉱床のうち2つに着手し、その他の新たな研究対象の鉱床の研究にも着手し、計画に沿った室内実験を行った。近赤外CCDカメラは当初予定していた機種が販売停止になったために、より高性能/高価格帯の機種を選択することになり選定に時間を要したが、本装置を導入し、硫化物/硫塩鉱物中の流体包有物の顕微鏡観察とマイクロサーモメトリー分析を行う研究環境が整った。流体包有物ガス組成分析は、分析試料の準備とカナダの共同研究者へのサンプル送付を行っていないが、今後、双方の日程を調整し、令和4年度または令和5年度にサンプルを送付または研究代表者が先方のラボを訪問し分析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の10月に、本課題に関連する研究活動を国際共同研究として発展、拡大させるための科研費・国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))が採択されたために、順次、国内外の熱水鉱床を本研究課題の新たな研究対象として加えていく予定である。令和4年度に海外共同研究者が在外研究を行う予定であるため、流体包有物のガス組成分析は、双方の日程を調整し、令和4年度または令和5年度にサンプルを送付または研究代表者が先方のラボを訪問し分析を行う。本件に関わり、全体の研究期間を1年延長する可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による出張制限により当初予定していた研究対象地域(北海道東部)の地質調査を実施しなかったため次年度使用額が生じた。海外共同研究者の都合を含めた理由により全体の研究期間が1年間延長する可能性があるため、残額は繰り越して計画的に使用する。
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