| 研究課題/領域番号 |
21K04965
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| 研究機関 | 関西学院大学 |
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研究代表者 |
杉原 英治 関西学院大学, 工学部, 教授 (10359854)
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| 研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 電力ケーブル / 熱等価回路モデル / 潮流計算 |
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| 研究実績の概要 |
太陽光発電や風力発電といった出力変動型再生可能エネルギー電源の大量導入や、電気自動車の大幅な導入が見込まれる中で、地域供給系統や配電系統における電力ネットワークの混雑（過負荷）が大きな問題になっていくことが予想される。本研究では、地中送配電ケーブルの熱等価回路モデルとシステム同定理論に基づき、ケーブル導体温度を高精度に推定可能な熱等価回路モデルを開発し、潮流計算および最適潮流計算手法に組み込むことで通電電流の不確実環境下における系統潮流マネジメント（潮流・電圧管理）手法を開発することを目的としている。
今年度は、これまで開発してきた熱等価回路モデルの妥当性を検証するため、低圧CVケーブルを対象として、大電流電源を用いた実験により導体温度上昇に関する妥当性検証を行った。まず、熱抵抗の妥当性を検証するため、熱等価回路モデルにおいて定格電流を流した場合を想定し定常状態における導体温度を算出し、データシート上の常時許容温度とほぼ一致することを確認した。次に、熱容量も含めた等価回路全体の妥当性を検証するため、対象とするケーブルにステップ状の通電電流を流した場合において、複数点のケーブル表面温度の時間変化を熱電対を用いて測定し、熱等価回路モデルによる表面温度計算結果と良く一致することを確認した。さらに、分オーダの日射変動データに基づき太陽光発電を想定した通電電流変化を用いて、熱等価回路モデルに基づくケーブル導体温度を評価した結果、今回用いた低圧CVケーブルにおいても温度上昇時に時間遅れ(熱的慣性)があり、その時定数は7分程度となることを示した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画においては、熱等価回路モデルの妥当性検証として、熱物性値の温度依存性を考慮した有限要素解析を計画していたが、実際のケーブルを対象とした実験環境の整備が進んだため、モデルの妥当性検証に関しては、通電電流による温度上昇試験を行い、モデルの妥当性を確認した。また、ステップ状の電流変化や実測された分オーダの日射データに基づき通電電流変化を想定し、ケーブル導体温度を評価することにより、次年度以降、配電系統における潮流マネジメント手法を開発するための基礎データ(温度上昇時の時定数等)を得ることができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
熱等価回路モデルの妥当性検証に関して、低圧CVケーブルにおいて十分な精度を有していることを確認してきたが、高圧配電用ケーブルに関しては必ずしも明らかではないため、高圧配電用CVケーブルにおける温度上昇試験の実施についても検討する。また、実験による妥当性検証と並行して、前年度、妥当性を検証したCVケーブルの熱等価回路モデルを対象として、連立微分方程式の状態空間表現を行い、システム制御工学の観点からケーブル導体温度制約下における潮流制御手法を開発する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
等価回路モデルの妥当性検証について、有限要素解析から実験による妥当性検証に変更したため、経費使用額に変更が生じた。次年度は、さらに実験による検証を進める予定であり、測定対象となるCVケーブルや消耗品等の購入に使用する予定である。
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