研究課題/領域番号 |
21K04970
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
飯田 民夫 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70377703)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 表面均一な成膜 / 粒径制御 |
研究実績の概要 |
令和4年度においては、表面均一かつ粒径制御可能なCH3NH3PbI3薄膜の成膜手法の確立を目的に研究を行った。成膜手法は、気相法である抵抗加熱蒸着法を用いてまずPbI2薄膜を作製した。その後、PbI2薄膜をよう化メチルアンモニウム(MAI)粉末と共に片側が封止された石英管へ挿入し、石英管内を真空状態としたのちに電気炉を用いてアニール処理を施すことでCH3NH3PbI3化させた。この際、アニール温度を160℃程度にすることで、薄膜が完全にCH3NH3PbI3化することをXRD測定にて確認できている。 作製した試料表面においては、色ムラや膜剥離なども見受けられず、またSEMを用いて観察した結果でも同程度の粒形状が並んでいた。したがって、気相法を用いることによって表面均一な成膜ができたことが示唆できる。 粒径制御においては、当初の計画ではHeやArなどの不活性ガス中で原料を蒸発させることで原料物質を微結晶化させ基板に堆積させることを想定していたが、装置の都合上、他の手法を考案した。本年度においては、PbI2薄膜を作製する際に成膜速度を変化させることで、膜中の結晶子サイズを制御できることを確認した。PbI2薄膜の成膜時にPbI2の結晶子サイズを制御することで、CH3NH3PbI3化させたときの結晶子サイズも変化させることができる。現状では、正面が平坦な石英ガラス基板上において、PbI2の製膜速度を0.02nm~0.35nm/sで変化させて成膜を行った結果、CH3NH3PbI3の結晶子サイズを50nm~200nmで制御することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粒径制御手法において、予定していたガス導入部分の装置改造を行えていないが、代替の手法を用いて制御できている。次年度は装置改造に取り掛かる予定である。それ以外の部分においては、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、当初の研究計画通り表面均一かつ粒径制御可能なCH3 NH 3 PbI 3 薄膜の成膜手法の確立について継続して研究を行う。PbI2の製膜速度可変の範囲を広げ、より幅広くCH3NH3PbI3の結晶子サイズの制御を試みる。また下地基板にTiO2膜を堆積した基板を用いて、石英ガラス基板表面に堆積した場合との違いを確認する。さらにHot-Wire CVD法を用いたTiO2薄膜の粒径制御と結晶界面の評価および 極低温下でのペロブスカイト太陽電池の分光感度測定にも取り掛かる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画で購入予定であった触針式表面形状測定器については購入せず、岐阜高専の他の研究室が所有するレーザー顕微鏡を利用させてもらうことで代用した。代わりに基板表面の処理を行うためのUV/オゾン洗浄改質実験装置を購入した。また装置改造・メンテナンス費分において今年度使用していない分もあるため、次年度に使用する予定である。またコロナ禍により旅費の支出が予定より少なかった。この分においても次年度以降に旅費として使用する予定である。
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