研究課題/領域番号 |
21K04971
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研究機関 | 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター |
研究代表者 |
村上 拓馬 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター, 幌延地圏環境研究所, 研究員 (30422760)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヨウ素 / 第三系堆積岩 / 地下水 / 北海道北部 |
研究実績の概要 |
ヨウ素は医療品・工業用触媒・液晶画面といった我々の日常生活に馴染み深い元素の一つである。世界で生産されるヨウ素の90%はチリ(約60%)と日本(約30%)で占められている。日本におけるヨウ素鉱床は、主に南関東ガス田をはじめとした第四系堆積岩の水溶性ガス田に限られているが、そのヨウ素濃集過程やメタンガスとの共存については統一的な見解はなされていない。 このような高濃度ヨウ素とメタンガスの共存が北海道北部の第三系堆積岩でも発見されており、本研究では第三系堆積岩とその地下水を対象とし、ヨウ素の起源・濃集過程の解明や新たなヨウ素資源としての可能性の検討を目的とした。今年度は新たに採水した地下水1試料と分析済み地下水に対応する堆積岩11試料(宗谷夾炭層・鬼志別層・稚内層・声問層)のヨウ素抽出試験を実施し、ヨウ素の濃度および同位体比を分析した。宗谷夾炭層中のヨウ素については陸成層にも関わらず地下水および岩石中に高いヨウ素濃度を有することが明らかになった。岩石中のヨウ素同位体比は地下水中のヨウ素同位体比と同様に堆積年代との関連性は認められず、また水-岩石間における相関性も認められなかった。次年度は今年度実施した試料よりもより浅部の堆積岩(ヨウ素濃度がより希薄)のデータを取得する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
堆積岩および地下水の分析は当初の予定通りに進んでいる。懸念された堆積岩中のヨウ素同位体比の精度についても試料量を増やすことで精度の高いデータを得ることができた。次年度に向けた分析用試料も確保することができている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、ヨウ素濃度の比較的低い堆積岩中のヨウ素同位体比を分析予定であるため、精度の良いヨウ素同位体比データの取得が難しいと考えられる。しかしながら、今年度得られた濃度と試料量を参考に試料量を増やし、精度の良いデータを取得し、水-岩石間におけるヨウ素の移行挙動の評価および地下環境中におけるヨウ素の濃集過程の解明を目指す。また、ヨウ素の移行挙動に関する室内試験についても準備する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス拡大の影響で学会がWeb開催になり、旅費が発生しなかったため、次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は物品もしくはその他のヨウ素同位体比の委託分析に充てる予定である。
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