タンデム構造太陽電池は、標準試験条件においては高い発電性能を示すが、屋外での発電電力量(エネルギー性能)が明らかでない。本研究では、新型のタンデム構造太陽電池についてエネルギー性能を推計する理論モデルを構築し、屋外実用条件におけるタンデム構造太陽電池の発電電力量を明らかにすることが目的である。実験室における標準試験条件でのパワー性能と屋外における発電電力量を接続するための学術的な基盤を構築し、開発中の新型タンデム構造太陽電池に対してもエネルギー性能を予測できるような理論的モデルを開発する。これによって、屋外での発電量を実際に測定する以前に、様々な屋外環境に設置した際に得られる発電電力量を推計する方法を開拓する。本研究では、理論・計算機シミュレーション・実験によるアプローチを融合し、新型タンデム構造太陽電池における発電電力量を定量的に算出する手法の開発を進めた。 本年度も引き続き、屋外実用条件における発電量の計測について実験的検討を進めた。タンデム太陽電池デバイスの最大電力点を追跡し、発電量を連続計測するために、制御装置および計測装置の改良を進めた。また、屋外実用条件における発電電力量に重要であるデバイス温度の計測について実験を進めた。タンデム太陽電池を構成する単接合サブセル太陽電池について、屋外での発電量の計測試験を実施した。最大出力制御における問題点解決にはデバイス性能の向上が必要であることがわかった。
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