研究課題
基盤研究(C)
本研究課題は,近赤外非線形ラマン分光の手法に表面増強ラマン効果を組み合わせた表面増強近赤外マルチプレックス非線形ラマン分光計を開発し,光合成タンパク質複合体の構造の動的変化と光合成機能との相関を明らかにすることを目的とした.金ナノ粒子による近赤外非線形ラマン散乱の顕著な増強効果は見られなかったが,本研究で開発した分光計で植物汁液の測定を行った結果,本分光計が植物中肥料成分濃度の非破壊分析に応用可能であることが見いだされた.
分子分光学
本研究により,近赤外非線形ラマン分光計を用いて植物体内に存在する肥料成分の分光信号を非破壊的に直接計測できる可能性が示唆された.この成果を発展させることにより,品種や栽培環境等によらず,植物中の肥料成分の濃度を非破壊的に計測することが可能になると期待される.植物中の肥料濃度のリアルタイムモニタリングが可能になれば,農業の省力化やスマート化,農作物のブランド化に大きく貢献することとなる.