金属酵素のはたらきを理解するためには、タンパク質全体の構造情報に加えて反応速度や結合親和性などの定量的な情報が重要となる。金属酵素活性部位の電子状態は複雑なため、既存のアプローチでは十分な追跡が行えない状況にあった。本研究により、金属酵素の高次構造と活性部位の化学反応過程を同時にかつ定量的に解析できるようになったことは大変意義深く、国内外を問わず当該研究分野の先導的役割を果たすと考える。本アプローチは、がん細胞のDNAとシスプラチンなどの金属含有薬剤との相互作用解析や人工酵素の設計にも展開でき、医薬品設計、材料設計など各方面への波及効果が期待される。
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