研究課題/領域番号 |
21K04987
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
前田 康大 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 技師 (10611733)
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研究分担者 |
湯本 正樹 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (60585157)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中赤外線 / 波長可変レーザー / 中分子イメージング / 顕微鏡 |
研究実績の概要 |
本年度は主に、中赤外波長可変レーザーを顕微鏡用光源として利用するための、出力されるビームの品質改善と、本レーザーを励起光源とした反射・透過顕微鏡光学系の構築、計測予定の試料に関して中赤外線領域の光吸収特性の情報を得るために試料のFT-IR分光計測を実施した。 前者ではまず、ビーム品質を改善する為にレーザー共振器の最適化を実施した。その結果、ガウシアンライクの空間強度特性をもつビームを出力できる様になった。また、波長可変域と出力エネルギーに関して、イージングに最適な条件を検討した。 顕微鏡光学系の構築では新型コロナの影響により、必要物品の調達に遅れが生じた結果、開発と構築に若干の遅延が生じたものの、代替品の確保と設計変更によって概ね順調に構築が完了し、この光学系を使用したモデルサンプルの計測を開始した。 構築した顕微鏡光学系の設計・構築と並行してモデルサンプルの中赤外線領域における光吸収分光をFT-IR分光器を用いて計測を実施し、イメージングに最適な波長情報の取得を行った。作成したモデルサンプルはグルコース、フコース、アルファ・ベータシクロデキストリン、ポリスチレングリコール、ラクトシルフルクシド、スタキオース、ラクトースの濃度の異なる水溶液である。濃度は生体内濃度を想定してナノからマイクロモル濃度になるよう調整した。この計測における濃度では水の吸収が強く、十分な信号雑音比を得る事が困難であることが確認された。波長可変レーザーを用いた同様の計測を現在遂行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナの影響により、当初予定していた物品の調達に一部若干の遅れが生じたものの代替品の確保に努めたほか、研究分担者との協力によって分担業務の一部組み替えを行った結果、最小限の影響に抑えて概ね計画通りに研究課題に取り組むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は構築した顕微鏡光学系を用いた試料計測とイメージング性能の評価を実施する計画である。水に混合した糖鎖やペプチド、これらをコラーゲンゲル基質内に局在させた試料を作成して計測するほか、実際の細胞を用いた評価試験を実施する。また、当初計画にあった中赤外線領域の光吸収をベースとした顕微鏡に加え、より高感度・高分解能を実現できる可能性を有するフォトサーマル位相差顕微鏡の構築についても検討する。この顕微鏡は、構築済の顕微鏡光学系を僅かに変更するだけで構築が可能である。当初計画の顕微鏡と変更後の顕微鏡で同様のサンプルを計測し、それぞれの顕微鏡光学系の性能評価等を実施する方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消費税計算時に発生する小数点以下の端数の処理(切り捨て・繰上)による誤差の蓄積
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