本研究では、開殻分子からなる新奇光機能マクロ物質の量子設計指針の構築を目的とし、これを扱う理論・計算・解析手法の開発を行った。分子集合系の電子状態を、構成要素に関する物理パラメータをもとに表現するモデルハミルトニアンに基づく計算・解析法を駆使し、集合系レベルの電子状態と光学応答物性を制御する分子内構造/分子間相互作用の支配因子を明らかにし、開殻分子のπ積層集合系における設計指針を検討した。π積層集合系の電荷分布を制御には各分子の軌道広がり効果の、HOMO-LUMOギャップの制御には部分系のジラジカル因子の推算が重要であり、これらは新奇光機能マクロ物質の設計に重要であることが明らかになった。
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