比熱からのg(ω)解析は,Einstein模型,Debye模型から始まる100年間にわたって取り組まれてきた問題である。しかし,従来の手法には多くの制約があり実在物質の解析はほとんど行われていなかった。本研究ではこれらの制限を解決した。この新手法により,これまで議論できなかった小さな熱異常や低エネルギー励起等の解析が可能となった。また,熱工学や材料科学の分野でg(ω)の情報が必要とされ、データベースの構築も進んでいる。中性子実験などに比べてはるかに手軽な比熱測定から,正確なg(ω)を決定できるようになり,実学への応用も大いに期待できる。
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