研究課題
本研究では、高精度量子化学計算と情報科学的解析を融合させることで、合成化学的に重要な金属を用いた均一的触媒反応および、医学的にも重要な酵素反応機構の非共有結合性相互作用、添加物の効果、立体配座によるエネルギー分布をはじめとした統計力学的効果および動力学効果の役割を明確にすることを目的とする。期間全体の実績として、(1)キラルなバナジウム触媒を用いた高エナンチオ選択的な1,2-酸化的トリフルオロメチル化反応のエナンチオ選択性についてDFT計算と、フラグメント分子軌道法、エネルギー分割解析を組み合わせた検討を行った。カップリングパートナーが変わると非共有結合性相互作用が増し、エナンチオ選択性の向上が見られると考えられる結果を得た。遷移状態における配座解析も行った。(2)ロジウムおよびパラジウム触媒による炭素-水素結合活性化を経由した配向基を含むα―マレイミドとのカップリング反応や芳香族アミドとマレイミドの位置選択的な[3+2]環化付加反応に関するDFT計算を行い、メカニズムの解明や律速段階の予測などを論文に報告した。(3)さらにAu(I)錯体が、インドール誘導体とエニノールによるインドール縮環型七員環形成反応において優れた不斉触媒として機能することを見出した。期間全体を通じてフェレドキシン依存酵素PcyAおよび3α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3α-HSD)のダイナミクスと還元反応を、マルチフィジックス手法やクラスタリングなどの情報科学的手法を組み合わせながら検討し、立体配座の重要性を理解した。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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