研究課題/領域番号 |
21K05026
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
河内 敦 法政大学, 生命科学部, 教授 (70260619)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オリゴシラン / オリゴシラニルリチウム / スズーリチウム交換反応 / 紫外-可視吸収スペクトル / DFT計算 / TD-DFT計算 |
研究実績の概要 |
当研究室では以前,(t-ブトキシ)クロロジフェニルシランにリチウムを作用させると,系中で[(t-ブトキシ)シリル]リチウムを生成した後,これが自己縮合を起こすことで[2-(t-ブトキシ)ジシラニル]リチウムが生成すること, また,2-(t-ブトキシ)ジシラニルスタンナンとブチルリチウムとのスズ-リチウム交換反応でもジシラニルリチウムが生成することを見出している。また最近,ジシラニルリチウムと種々のクロロシラン類との反応により,ペンタシランおよびヘキサシランの合成にも成功している。これらをもとにして,本研究ではケイ素鎖をさらに一つ伸ばした[3-(t-ブトキシ)トリシラニル]リチウムを,クロロトリシランおよびスタンニルトリシランから合成することを検討した。また,このトリシラニルリチウムを用いてヘプタシランおよびオクタシランの合成についても検討した。 その結果,クロロトリシランとリチウムナフタレニドまたはスタンニルトリシランとn-ブチルリチウムを用いて[3-(t-ブトキシ)トリシラニル]リチウムの調製に成功した。このトリシラニルリチウムを用いてオリゴシラン類を合成した。また,オリゴシランのt-BuO 基を還元反応により水素原子に変換することができた。さらにオリゴシラン類のUV-vis スペクトル測定を行い,極大吸収波長の鎖長依存性を観測した。また,これらオリゴシラン類のDFT計算をおこない最適化構造を得た。この最適化構造をもとにTD-DFT計算をおこなった。その結果,実測のUV-visスペクトルとTD-DFT計算による計算値との間でよい一致が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
オリゴシラニルリチウムの発生法として,クロロオリゴシランをリチウムアレーニドで還元する従来法に加えて,スタンニルオリゴシランのスズ-リチウム交換反応の開発に成功した。後者は,反応性の高い副生成物が発生しないため,前者に比べてクロロシラン類との反応収率が格段に上昇した。また,スタンニルオリゴシランの合成において用いるスタンニルリチウムの合成において,触媒量のナフタレンを共存させることで,スタンニルリチウムの収率を向上させることにも成功した。これらの理由により,目的とするオリゴシラン類を効率よく合成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
まず,これまでに合成した官能性オリゴシランについて,還元反応を起点とする官能基変換について検討する。さらに電子供与性基,電子求引性基の導入によるプッシュープル型オリゴシランの合成をおこなう。つぎにこれらオリゴシラン類の酸化還元電位,イオン化ポテンシャル等の物性測定をおこなう。さらに,テトラシラニルリチウムを開発し,これを用いてノナシラン,デカシランの合成に挑戦する。これによりケイ素原子数2個から10個までのオリゴシランの系統的合成を達成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した実験計画の見通しよりも効率よく目的化合物を合成することができた。そのため,試薬購入費に余裕が生じた。これは2022年度の試薬類の購入にあてる。それ以外は,当初の2022年度研究計画にもとづき,試薬類,実験器具,その他の消耗品費を中心とした物品費の支出をおこなう。
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