研究課題
本研究では、近紫外から可視での蛍光特性を示す有機ホウ素化合物であるジベンゾヘテラボリン構造を連結したラダー型骨格発光体の開発を行い、紫外領 域の熱活性化遅延蛍光(TADF)材料へ展開する。紫外領域の発光体は、紫外有機ELやhyperfluorescence光源への活用が期待されるが、可 視発光体に比して発光効率や材料寿命、色純度などで大きく劣っている。 研究代表者は、ラダー型構造を持つジベンゾヘテラボリンをアクセプター部位としたドナー・アクセプター型または多重共鳴型の青色TADF発 光体を報告しており、本構造がTADF特性向上に有効であることを見出している。本研究では、ラダー型ジベンゾヘテラボリンを基本構造とし、ホウ素上 置換基または共役系の構造を変更することで発光帯域を短波長シフトさせ紫外TADF特性の発現を検討した。今年度は、昨年度に見いだしていた二重発光特性を持つジチエノチアボリン化合物について、二重発光の起源を詳細に分析し論文発表を行った。また、昨年度に合成を行っていたボリン酸エステル構造を縮環骨格に埋め込んだ近紫外発光性分子については、目的としたTADF特性を確認するには至らなかったが、報告例がほとんど無い近紫外領域での狭帯域発光特性を持つことを確認した。本成果を基に、TADF特性の発現や発光波長制御を目的として縮環構造に種々の置換基を導入した誘導体の合成を進めている。今後は紫外TADF分子としての性能評価を進める予定である。
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