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2021 年度 実施状況報告書

イリド求核剤を用いるスピロシクロプロパンの開裂ー環化反応による炭素環構築法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K05048
研究機関富山大学

研究代表者

南部 寿則  富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (80399956)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードイリド反応剤 / スピロシクロプロパン / 炭素環 / リンイリド / 硫黄イリド / インダン / アズレン / スピロシクロブタン
研究実績の概要

求核剤となる求核部位と脱離基となる求電子部位を併せもつイリドは、古くから有機合成反応に用いられてきた反応剤であり、様々なビルディングブロックの構築に利用されてきた。最近研究代表者は、求核剤として硫黄イリドを用いたスピロシクロプロパンの開裂ー環化反応により含酸素6員環が構築できることを見出し、二環式複素環化合物クロマンの合成に成功した。この結果は、イリドによるシクロプロパンの開裂反応の初めての例である。また、これまでにシクロプロパンの開裂ー環化反応による様々な複素環の構築については数多くの報告例があるが、炭素環の構築例はほとんどなく、特に二環式炭素環の構築例は全くなかった。これらの背景のもと、本研究ではリンイリドや硫黄イリドを炭素求核剤として用いるスピロシクロプロパンの開裂ー環化反応による炭素環構築を検討し、医薬品や有機材料として利用されている二環式化合物インダン、アズレンおよびスピロシクロブタンの合成法を開発する。
今年度は、インダン骨格の構築を目指し、6員環の1,3-シクロヘキサンジオン由来のスピロシクロプロパンとエステルが置換したリンイリドとの反応を検討した。その結果、リンイリドによるスピロシクロプロパンの開裂ー環化反応が進行し、ジヒドロインダン-4-オンが収率よく得られることを見出した。この結果は、リンイリドによるシクロプロパンの開裂反応の初めての例である。さらに,得られたジヒドロインダノンをインダンへ変換できることも分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに、リンイリドを求核剤として用いた1,3-シクロヘキサンジオン由来のスピロシクロプロパンとの反応によるインダン骨格構築に成功したため、おおむね計画通りに進展している。反応条件を最適化したものの反応例は十分ではないため、今後、様々なスピロシクロプロパンを用いて、本法の基質一般性を検討する。なお、エステルが置換した安定リンイリドは収率よく環化体が得られたものの、ケトンが置換したリンイリドでは低収率にとどまった。現在、収率の向上を目指し、反応条件等を検討している。

今後の研究の推進方策

開発したインダン構築法の汎用性を拡張するため、様々なスピロシクロプロパンおよびリンイリドを用いて検討する。また、7員環である1,3-シクロヘプタンジオン由来のスピロシクロプロパンとリンイリドとの反応による7員環と5員環が縮環した二環式炭素環化合物の合成を検討する。この炭素骨格は、非ベンゼン系10π芳香族化合物アズレンの骨格となる。さらに、得られたアズレン前駆体を酸化してアズレンへの変換を目指す。青色結晶であるアズレン類は近年医薬品や有機材料として幅広く利用されているが、その合成は容易ではなく、効率的合成法の開発が必要である。リンイリドを用いるスピロシクロプロパンの開裂ー環化反応により、簡便な新規アズレン合成法を提供できると考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (2件)

  • [学会発表] リンイリドによるスピロシクロプロパンの開裂ー環化反応2022

    • 著者名/発表者名
      大貫 悠太、増田 雄人、南部 寿則、矢倉 隆之
    • 学会等名
      日本薬学会第142年会 (名古屋)
  • [備考] 富山大学薬学部分子合成化学研究室:研究業績

    • URL

      http://www.pha.u-toyama.ac.jp/sboc/publication-j.html

  • [備考] 富山大学薬学部分子合成化学研究室:研究業績(英語版)

    • URL

      http://www.pha.u-toyama.ac.jp/sboc/publication-e.html

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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