研究課題/領域番号 |
21K05053
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高谷 光 京都大学, 産官学連携本部, 特定研究員 (50304035)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 未利用バイオマス / 木質バイオマス / セルロース / リグニン / ペプチド / マイクロ波 / ボールミル / メカノケミカル |
研究実績の概要 |
未活用植物バイオマスの循環資源化を目的として,リグニン/セルロース認識能を有する低分子量のペプチド人工酵素を開発し,バイオマス中のリグニン/セルロースの直截的かつ選択的分子変換による有用化成品生産法を開拓を目的とした研究を行った。具体的には,1)リグニン・多糖類・蛋白質・脂質が混在する高密度な分子夾雑系において,リグニン/セルロースに特異結合する5~15残基程度の基質認識ペプチドと触媒機能を有するペプチドの探索・発見,2)認識ペプチドと触媒分子を結合した低分子量ペプチド人工酵素の創出,3)植物バイオマスの循環資源化を目的とする,リグニン/セルロースの選択的分解・変換法の開発および有用芳香族分子・機能性セルロース等を与える新しい分子変換法である。 令和3年度では,リグニン/セルロース源として未活用バイオマスであるリグニン廃液,農業廃棄物,廃棄木材中等を基質とする分解・変換法について基礎検討を行った。その結果,廃棄建材などの木材廃棄物や稲わらなどの農業廃棄物を原料として,適当な触媒と混合した後にマイクロ波反応やボールミル装置によるメカノケミカル反応を行うことによって,通常加熱では得られない有用芳香族や置換セルロース化合物が得られることを見出した。特にリグニン/セルロースのボールミル反応では,セルロースーリグニンの分離,ナノ化,分解,変換反応を反応物を途中で取り出すことなくワンポットで行い,アセチル化あるいはエステル化されたリグニンやセルロース誘導体が得られることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度では5残基/12残基のアミノ酸からなるリグニン認識ペプチドの合成を行ったが,これらのリグニン認識能についてITCおよび蛍光異方性分析による認識能の分析・定量に至らなかった。ただし,Amberによる分子動力学計算および量子化学計算に基づく相互作用解析を行い,リグニン認識ペプチドとリグニンの認識に芳香族性置換基のCH-pi/pi-pi相互作用などの疎水性相互作用が支配的な要因となっていることを確認できた。また,放射光を用いる溶液XAFSおよびXMCTによるバイオマス分解過程の追跡と触媒作用機序の分子レベル解析を行い,分解・変換反応の関する基礎研究を入念に行った。これらの実験のためペプチド酵素の探索と合成に若干の遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度ではマイクロ波およびボールミルを用いる反応技術がバイオマスの分解・変換に極めて効果的であることを見出した。特に,ボールミル反応では木粉等からのリグニン/セルロースの分離とリグニン/セルロースのナノ化,オリゴリグニン/オリゴセルロースの直接変換/分解反応をワンポットで行うことが可能であることを明らかにした。令和4年度には,これらのマイクロ波/ボールミル反応技術とリグニン/セルロース認識ペプチド(触媒)を組み合わせ,より高選択的・高活性なバイオマス分解・変換反応の開発に取り組みたい。
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