研究実績の概要 |
すでに開発した、2-[(2-アジドフェニル)エチニル]フェノールの環化反応に類似した、1,6-ジインと1-アジド-2-エチニルベンゼンの[2+2+2]環化付加反応を行ったところ、目的とする環化付加は進行せず、1-アジド-2-エチニルベンゼン同士の[3+2]環化付加が進行してしまい、トリアゾールが得られた。また、ヒドロキサム酸とアルキンの金触媒分子間反応を検討したところ、目的とする環化反応が進行し、オキサゾールの生成が確認されたが、選択性・収率の向上が困難であった。そこで、2021年度は含ヘテロ縮環π共役化合物のC-H官能基化についても検討を行ったところ、ある程度の成果を得ることができた。 (1) 1-(2-ピリミジル)インドールと二炭酸ジエチルを、ロジウム(I)触媒存在下、1,4-ジオキサン中、100 °Cで加熱したところ、2位選択的なエトキシカルボニル化が進行した。2-アリールピリジンを用いても、同様にエトキシカルボニル化生成物が得られた。 (2) 1-(2-ピリミジル)インドリンと二炭酸ジエチルを、ロジウム(I)触媒存在下、アセトニトリル中、100 °Cで加熱したところ、7位選択的なエトキシカルボニル化が進行した。また、酸無水物を用いた場合には、7位選択的なアシル化が進行した。 (3) 1-(2-ピリミジル)インドリンと脂肪族カルボン酸を、ロジウム(I)触媒および2.5当量のピバル酸無水物存在下、1,2-ジクロロエタン中、130 °Cで加熱したところ、7位選択的なアルキル化が進行した。芳香族カルボン酸を用いた場合には、7位選択的なアリール化が進行した。また本反応は、種々の酸無水物を直接、アルキル化剤、アリール化剤として用いることもできた。
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