Spiroteuipesine Aは、東北大学菊地・大島らによって冬虫夏草の一種から見出され,グリア細胞でのNGF様活性物質の生合成を促進し、神経の突起伸長作用を示すことが明らかにされている。一方、徳島文理大学薬学部の福山、久保らによって、ガマズミ科植物のサンゴジュより単離構造決定されたNeovibsanin類は、NGFの働きを増強し、神経突起を伸長する活性を有する。すなわち、Spiroteuipesine AとNeovibsanin類を同時に神経細胞に作用されると、それぞれ異なる経路で神経を活性化し、効果的な神経機能修復が実現できる可能性がある。まず未同定の、Spiroteuipesine Aによって産生が促進されるNGF様活性物質の特定を試みた。抗NGF抗体存在下に、Spiroteuipesine Aの活性を測定したところ、その活性は影響を受けなかった。その結果から、Spiroteuipesine Aによって、グリア細胞から分泌が促進されるNGF様活性物質は、NGFそのものではないと考えられた。また、Neovibsanin類は、NGFの働きを増強するため、Neovibsanin類存在下に、Spiroteuipesine Aの活性を測定したところ、その活性の増強効果は観測されなかった。これらの結果から、Spiroteuipesine Aは、NGFとは異なる神経栄養因子様の活性物質を産生促進していることが明らかとなった。一方、光親和性標識体を用いた、Neovibsanin類の標的受容体の探索においては、不活性であるものの、構造がNeovibsanin類に類似した化合物を比較対象に用いることで、Neovibsanin類と選択的に親和性を有するタンパク質を同定し、その分子量に関する情報を得た。
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