本研究は、ダイナミックな構造変化を異種二核金属カルベン錯体に組み込むことで、異種二核金属カルベン錯体の新たな反応性・機能を開拓し、その利用法を拡大した。これにより、剛直な配位子を用いて二つの金属を離隔させる設計に留まってきた従来研究とは明白に一線を画した、新たな金属錯体の設計戦略を提唱した。また、ルイス酸を用いた配位子引き剥がしタイプの反応空間制御手法は、従来の研究において主流であったルイス塩基を用いた置換タイプに対し、全く異なるコンセプトを世界に先駆けて提唱したことになる。これは、異種多核金属錯体の応用を促進する上で寄与するところがおおきい。
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