研究課題/領域番号 |
21K05077
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
伊藤 元気 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (30610919)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 芳香族化合物 / アライン / アミン / ボロン酸 / シリカゲル |
研究実績の概要 |
2021年度は新規実用的アライン前駆体である2-トリアゼニルアリールボロン酸が、シリカゲルによってアラインを発生することを報告した。 2022年度は本アライン発生法を利用して、カゴ状オリゴシルセスキオキサン(POSS)を修飾する新規手法を開発した。POSSはポリマーの物性改善や機能性分子の集積化を可能とする骨格として期待されている。従来のフッ化物塩や強塩基を用いる手法ではSi-O結合からなるPOSS骨格の分解により低収率にとどまるのに対し、より反応条件が穏やかな我々の手法ではPOSS骨格を損なうことなく高収率で生成物が得られた。本手法によって、POSS骨格に様々な分子を導入することが可能となることから、今後機能性材料開発への応用が期待できる。 また、2-トリアゼニルアリールボロン酸はシリカゲル以外にも、ブレンステッド酸やルイス酸、固体酸といった様々な酸で処理することでもアラインを発生することを見出した。本手法は様々な官能基をもつアラインと幅広いアライノフィルに適用が可能である。さらに、アライノフィルとしてフラン類とアミン類の2種が共存する場合、シリカゲルを用いる条件ではアミン類が優先的に反応するのに対し、カンファースルホン酸を用いる条件ではフラン類が優先的に反応することを見出した。また、アライン前駆体上に導入した置換基のHammett定数を用いた解析により、酸を用いた場合には、シリカゲルを用いた場合とは異なるメカニズムでアラインを発生することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規に見出したアライン発生法について着実に検討を進め、従来の手法ではアラインによる変換が困難な基質に適用できることを明らかにした。また、我々の前駆体が単一の条件のみではなく、多様な条件でアラインを発生できる汎用性のある反応剤であることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
シリカゲルや酸に加えてアルコールを活性化剤とする2-トリアゼニルアリールボロン酸からのアライン発生について、現在検討中である。また、2-トリアゼニルアリールボロン酸の特長を活かしたアライン反応の位置選択性制御についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
若干の残金が生じたが、使用計画には特に影響はない。
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