2023 年度研究成果報告書

金属錯体の結晶化における絶対自然分晶の発現と結晶キラリティの伝播

研究課題

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研究課題/領域番号	21K05084
研究種目	基盤研究(C)
配分区分	基金
応募区分	一般
審査区分	小区分34010:無機・錯体化学関連
研究機関	岡山大学
研究代表者	鈴木孝義岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (80249953)
研究期間 (年度)	2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード	自然分晶 / キラリティ / 対称性の創出 / エナンチオ結晶 / 優先晶出
研究成果の概要	本研究では、不斉要素を持たない有機配位子と遷移金属及びランタノイド塩からなるキラルな金属錯体が結晶化する際に、単一のエナンチオ結晶のみを選択的に生成する「絶対自然分晶」の発現条件を詳細に調査した。様々な条件を検討した結果、含まれる金属イオンの組合せと結晶化溶媒の種類が、この稀な現象の発現に対する決定的因子であることを明らかとした。また、類似化合物の種結晶を用いた優先晶出法により、結晶化に際してキラリティの伝播が起こり、生成する結晶の絶対構造を反転させることや、異なる結晶系のラセミ結晶を析出させることも成功した。これにより、共存する化学種により結晶化挙動がコントロールされることが示された。
自由記述の分野	錯体化学
研究成果の学術的意義や社会的意義	本研究では、自然界における左右対掌性の発生について、化合物の結晶化過程におけるキラル選択制に着目した。絶対自然分晶は、不斉源のない条件下で片方の掌性をもつ化合物を選択的に生成することから、この現象の発現条件の検討や発現機構の解明は、自然界における重要未解決課題であるキラリティ創成の理由を紐解くにも重要である。また、本研究で扱う化合物の中には、単分子磁石挙動など興味深い物性を示すものも報告されている。これらに対して、キラリティの伝播により完全自然分晶が誘導されれば、片方のキラリティのみをもつ機能性物質が選択的に合成でき、新たなキラル特性を持つ物質群の創生が可能性となる。