研究成果の概要 |
本研究では, 分子のキラリティを利用した異核複核錯体の合成戦略により, 新奇な電子焦電特性を持つ一群の化合物を合成した。特に, [FeCo]錯体における電子の再分布による広範な温度範囲での焦電効果の発見と, [CoGa]錯体における光応答性焦電特性を実証し, 新しい光―電気エネルギー変換の機構を提案したことは重要な成果である。また, 新規配位子の合成に成功し, 分子設計の可能性を拡大した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究において, これまでに例のない新奇な焦電物性を示す物質群の発見は, 電子構造と物性の関係を解明する上で重要な進展といえる。これらの成果は, 新規物質の設計指針を提供し, 磁性―誘電性複合物性研究分野の新たなフロンティアを開拓したといえる。 社会的意義としては, これらの新規焦電材料が環境・エネルギー問題の解決に貢献する可能性があげられる。特に, 光―電気エネルギー変換の新しい機構の提案は, 次世代のエネルギーハーベスティング技術の発展に寄与すると期待している。
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