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2022 年度 実施状況報告書

ペアレントCpを支持配位子とする配位不飽和多核ルテニウム錯体の創成と機能開拓

研究課題

研究課題/領域番号 21K05088
研究機関大阪公立大学

研究代表者

松坂 裕之  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50221586)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードルテニウム / パラジウム / ペアレントCp配位子 / 異種金属クラスター / イミド / メチリジン / プロパギリデン
研究実績の概要

Fischer-Tropsch (FT) 反応では、CO 由来の C1 ユニット (C, CH, CH2, CH3) が触媒表面上で逐次的に結合を形成する機構が提案されていることから、金属クラスター上での C1 配位子の炭素―炭素結合形成反応が注目されてきた。Fischer-Tropsch反応の推定機構と関連し、金属表面との類似性の高い多金属反応場での炭素鎖生成反応の観測を目的として、金属上に集積化した 2 分子の 2 核ルテニウムメチリジン錯体をC1源とする炭素-炭素結合形成反応にとりくんだ。二核Ruメチリジンクラスター [(CpRu)2(mu-CH)(mu-NPh)][BF4] (1, Cp = eta5-C5H5)を1当量のPd(dba)2 (dba = dibenzylideneacetone)と反応させると、 2個のPd原子を2分子の1が挟んだサンドイッチ構造を有するRu4Pd2異種六核クラスター [(CpRu)4Pd2(mu3-CH)2(mu3-NBut)2][BF4]2 (2)が得られた(70%)。対アニオンをOTf-に交換してX 線解析を行い、一方のPdに2つのイミド窒素が配位し、もう一方のPdに2つのメチリジン炭素およびOTf-アニオンが配位したサンドイッチ構造の生成を確認した。2とCNXy (Xy = 2,6-xylyl)またはCH2SPh2との反応では、2のRu4Pd2骨格を維持した[(CpRu)4Pd2(CNXy)(mu3-CH)2(mu3-NBut)2][BF4]2(3, 95%)および[(CpRu)4Pd2(mu3-CH)2(CH2SPh2)(mu3-CH)2(mu3-NBut)2][BF4]2 (4, 88%)が生成した。2とHC≡CSiMe3とをNEt3共存下で反応させると、アルキニル基とメチリジン配位子とのC-C結合形成を経て、架橋プロパルギリデンクラスター[(CpRu)4Pd2(mu-CHC≡CSiMe3)(mu-CH)(mu3-NBut)2][BF4] (5)が得られた(97%)。3、5 についてX線解析により構造の詳細を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Fischer-Tropsch(FT)反応の推定機構と関連し、金属表面との類似性の高い多金属反応場での炭素鎖生成反応の観測を目的として、金属上に集積化した2分子の2核ルテニウムメチリジン錯体をC1源とするC-C結合形成反応にとりくんだ。ペアレントCpを支持配位子とする配位不飽和2核ルテニウムメチリジン錯体[(CpRu)2(mu-CH)(mu-NPh)][BF4] (1, Cp = eta5-C5H5)を1当量のPd(dba)2 (dba = dibenzylideneacetone)と反応させると、2個のPd原子を2分子の1が挟んだサンドイッチ構造を有するRu4Pd2異種六核クラスター [(CpRu)4Pd2(mu3-CH)2(mu3-NBut)2][BF4]2 (2)が得られることを見出した(70%)。対アニオンをOTf-に交換してX 線解析を行い、一方のPdに2つのイミド窒素が配位し、もう一方のPdに2つのメチリジン炭素およびOTf-アニオンが配位したサンドイッチ構造の生成を確認した。2とCNXy (Xy = 2,6-xylyl)またはCH2SPh2との反応では、2のRu4Pd2骨格を維持した[(CpRu)4Pd2(CNXy)(mu3-CH)2(mu3-NBut)2][BF4]2(3, 95%)および[(CpRu)4Pd2(mu3-CH)2(CH2SPh2)(mu3-CH)2(mu3-NBut)2][BF4]2 (4, 88%)が生成した。2とHC≡CSiMe3とをNEt3共存下で反応させると、アルキニル基とメチリジン配位子とのC-C結合形成を経て、架橋プロパルギリデンクラスター[(CpRu)4Pd2(mu-CHC≡CSiMe3)(mu-CH)(mu3-NBut)2][BF4] (5)が得られた(97%)。3、5 についてX線解析により構造の詳細を明らかにした。

今後の研究の推進方策

ペアレントCpを支持配位子とする配位不飽和2核ルテニウムメチリジン錯体[(CpRu)2(mu-CH)(mu-NPh)][BF4] (1, Cp = eta5-C5H5)とPd(dba)2 (dba = dibenzylideneacetone)との反応により得られた、2個のPd原子を2分子の1が挟んだサンドイッチ構造を有するRu4Pd2異種六核クラスター [(CpRu)4Pd2(mu3-CH)2(mu3-NBut)2][BF4]2 (2)上でのメチリジン炭素間の炭素―炭素結合形成反応を検討する。さらに、2への新たなC1種(C, CH,CH2, CH3)の導入と、2のメチリジン炭素との間での炭素―炭素結合形成反応についても詳細に検討する。また、1に対応する[(Cp*Ru)2(mu-CH)(mu-NPh)][BF4]とPd(dba)2との反応では、2に対応する6核クラスターの代わりにRu2Pd異種金属3核クラスターが生成することが予備的な実験により明らかにされつつあることから、Ru上の支持配位子であるCpとCp*との違いにより反応生成物が著しく異なる現象への理解を、理論と実験の両面から深化させる予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究の進捗状況に応じて、当初計画されていた予算のごく一部が未執行となった。物品費として今年度に使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (6件)

  • [学会発表] ルテノジチオエーテル及びルテノジチオールを利用した異種多核錯体の合成2023

    • 著者名/発表者名
      大橋竜馬、辻脇実那、竹本 真、松坂裕之
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] αシアノカルバニオン配位子を有するπ共役系ニッケル錯体の合成2023

    • 著者名/発表者名
      松田光二、 山本大貴、亀尾 肇、松坂裕之
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] パラジウム錯体を用いた ゲルマニウム-炭素結合のアリール化2023

    • 著者名/発表者名
      大石貫太、 虫明陽大、亀尾 肇、松坂裕之
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] かさ高いシクロペンタジエニル配位子を有する二核ルテニウムメチレン錯体の合成と反応性2022

    • 著者名/発表者名
      由良圭佑・竹本 真・松坂裕之
    • 学会等名
      第68回有機金属化学討論会
  • [学会発表] レドックススイッチ機能を有するRu-Pt異種二核p-アリル錯体の合成と反応性2022

    • 著者名/発表者名
      堀川順哉、阪上尚希、木曽彩日、竹本 真、松坂裕之
    • 学会等名
      錯体化学会第72回討論会
  • [学会発表] σ-電子受容性ボラン配位子を有するアニオン性 Pt(0) および Pd(0) 錯体の合成2022

    • 著者名/発表者名
      泉 大輔、田中悠大、亀尾 肇、松坂裕之
    • 学会等名
      錯体化学会第72回討論会

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公開日: 2023-12-25  

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