研究課題/領域番号 |
21K05089
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
貞清 正彰 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 准教授 (40635885)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イオン伝導 / マグネシウムイオン / 配位高分子 |
研究実績の概要 |
本研究では、マグネシウムイオン含有配位高分子におけるゲスト誘起超イオン伝導現象について、その発現機構を解明することを目指している。ゲスト誘起超イオン伝導の発現機構について、現在仮説として「細孔内のマグネシウムイオンがゲスト分子と錯体を形成することにより、配位高分子の骨格とマグネシウムイオンとの静電相互作用が抑えられ、マグネシウムイオンの移動度が向上する」と申請者らは提唱しており、本研究では、この仮説が正しいことを検証し、更なる高イオン伝導性を示す化合物を合成するため、ゲスト誘起イオン伝導性におけるゲスト分子のサイズ依存性およびホスト骨格の細孔サイズ依存性を明らかにすることを目的としている。令和4年度は、これまで用いていなかった配位高分子を母骨格として用いることにより、イオン伝導経路の形状と細孔径を変更した新たなマグネシウムイオン伝導性配位高分子の合成・同定を行うとともに、それらのゲスト分子存在下でのイオン伝導特性の評価を行った。具体的には、細孔の次元性と細孔サイズがともにこれまでの試料よりも大きな母骨格を用いて、同一のゲスト分子の蒸気存在下におけるイオン伝導度の比較を行ったところ、新たに合成した試料においても、ゲスト分子存在下で劇的なイオン伝導度の変化が観測され、ゲスト誘起マグネシウムイオン伝導を示すことを明らかとした。また、そのイオン伝導度は、母骨格の次元性と細孔サイズが大きいほど高くなる傾向があることを示唆する結果を得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、マグネシウムイオンを含有した配位高分子におけるゲスト誘起イオン伝導性について、母骨格の次元性と細孔サイズを変更した新たな試料の合成・同定に成功し、そのイオン伝導度を明らかにすることができた。これにより、配位高分子内でのゲスト誘起マグネシウムイオン伝導において、生成した高移動度のイオンキャリアの移動度が母骨格の細孔の形状で大きく異なることを示すことに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の予定どおり、更なる母骨格やゲスト分子の系統的な変更により、ゲスト誘起マグネシウムイオン伝導におけるイオン伝導度が、母骨格の細孔サイズ・次元性・ゲスト分子サイズ等によりどのように系統的に変化していくのかを明らかにし、我々が提案しているゲスト誘起マグネシウムイオン伝導の発現機構の正当性について議論していく。
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