有機金錯体の反応性を利用し、パラシクロフェニレン及びその誘導体の合成に成功した。トリ-、テトラ-、ペンタ-フェニレンボロン酸エステルを、ジホスフィン配位子を有する二核金(I)錯体と反応させることによって、環状六核金(I)錯体を合成し、これを化学酸化することによって、[9]、[12]、[15]シクロパラフェニレンを高収率で得ることができた。生成物のカチオンラジカルを分光学的な手法で同定した。合成反応が金(I)錯体の分子内有機配位子交換反応を重要な過程として含んでいることを、実験及び理論計算によって明らかにした。
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