研究課題/領域番号 |
21K05104
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
洪 達超 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (90769689)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ヘテロ二核金属錯体 / 均一系触媒 / 酸素還元 / 二酸化炭素変換 |
研究実績の概要 |
本研究では、酵素活性中心のような緻密な反応場を構築し、異なる金属反応サイトを近傍に配置したヘテロ金属二核錯体を設計、合成し、常温常圧で高効率に二酸化炭素からメタノールに直接変換することを目指す。本年度は、単核イリジウム錯体とルテニウム錯体を骨格配位子Hbpp(3,5-bis(2-pyridyl)pyrazolate)に逐次に配位させたヘテロ二核Ir-Ru錯体を設計、合成することに成功した。種々の分光学測定で同定を行い、単結晶X線構造解析で構造を決定した。また、ヘテロ二核Ir-Ru錯体を触媒に用いて、水素を原料に二酸化炭素の還元反応を評価した結果、2電子還元生成物であるギ酸を得た。さらに、ヘテロ二核金属錯体を用いた反応開発では、酸素の還元や芳香族オレフィンの選択的な酸化を見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規ヘテロ二核Ir-Ru錯体の合成に成功し、単結晶X線構造解析で構造を決定した。また、水素と二酸化炭素の反応からギ酸を生成することがわかった。6電子までのメタノールの生成は見られなかったが、それぞれの単核錯体よりも高い活性を示し、反応条件を探索することで、メタノールまで合成することが期待できる。
|
今後の研究の推進方策 |
ルテニウム側の3座配位子をN-ヘテロ環状カルベン(NHC)やホスフィンを持つピンサー型配位子などに変えたヘテロ二核Ir-Ru錯体も合成を行い、Ru配位子による二酸化炭素変換の活性の相違を評価する。反応中間体の観測、生成物の速度論解析、同位体ラベリング実験及びDFT計算の結果をもとに、ヘテロ二核金属錯体による二酸化炭素変換の反応機構について解明し、メタノールまで合成する方策を検討する。さらに、ヘテロに核金属錯体の触媒反応への応用性を検討し、新規反応開発も推進していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ影響により学会等の出張がオンラインでの開催になり、また、物品の納期遅れが発生したため、出張及び消耗品の使用額が抑えられた。次年度は、納期などを見越して早めに発注することで対応していく予定である。
|