有機金属錯体は、中心金属と配位子との組み合わせにより様々な光学特性や触媒活性を呈し、その性質を決定するのは固体であればその結晶構造と、外部刺激による構造変化である。古くから、密度汎関数法を中心とした電子状態計算により結晶構造を再現し、その物性を解明する試みが行われている。一方で、遷移金属を含まない有機分子のみの系では、古典的な分子力場による構造解析も多く為されてきた。有機金属錯体の結晶構造や構造変化を、古典力場を用いた分子シミュレーション手法により正確に再現することができれば、結晶構造未知の錯体について安定構造を見出し特性を予測するために要する時間の大幅な短縮が期待できる。
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