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2021 年度 実施状況報告書

組紐型に配置した超高強度合成細繊維束による新規マイクロ分離媒体の創製

研究課題

研究課題/領域番号 21K05110
研究機関豊橋技術科学大学

研究代表者

齊戸 美弘  豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00303701)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード組紐 / 合成細繊維 / マイクロ試料前処理 / マイクロカラム / 二次元分離
研究実績の概要

本研究では、耐熱性および耐薬品性を有する複数の合成細繊維の束を細管内部に組紐状に配置した、試料前処理用の抽出媒体ならびにクロマトグラフィー用の分離固定相を開発することを主たる研究目的としている。本研究において開発する組紐の材料には、耐溶媒性、耐薬品性ならびに耐熱性に優れた高強度合成細繊維を使用し、それぞれ数百本の細繊維から形成される細繊維束を組紐状に編み上げる。その際、組紐内部に円筒状の空洞部分を形成することが可能であり、この空洞部分に他の各種繊維状の新規素材を導入できる。組紐の構成要素として高強度の合成細繊維束を導入することにより、編み上げ後の組紐表面の平滑性を確保するとともに、キャピラリー内部へ充填時の空隙体積を大幅に低減できる一方で、多数の細繊維による大きな総表面積を確保できることから、使用目的に応じた多様な選択性を有し、抽出性能に優れたマイクロスケール試料前処理媒体が開発できる。
組紐内部に高熱伝導性の金属ワイヤーを導入することにより、金属ワイヤーの抵抗加熱による組紐内部から温度制御ならびに効率的な試料脱着も可能であり、更には、高速昇温分離用充填キャピラリーカラムへの応用、また、二次元分離インターフェイスへの応用も期待できる。本研究では、一繊維束あたりの細繊維本数、細繊維束の本数、ならびに編み上げる際に張力として組紐にかける荷重等の条件を最適化することにより、目的のキャピラリー内径に適合した外径・性能を有する各種組紐を作製し、系統的に評価している。また、その結果をフィードバックすることにより、使用目的に適合する組紐型デバイスを作製するとともに、その性能の最適化についても検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

これまでの本研究の進捗状況は順調であり、当初想定した計画以上に進展していると考えられる。研究計画に従って、組紐を構成する各種高強度合成細繊維の性能を比較検討し、ポリベンゾオキサゾール系の合成細繊維ならびに芳香族ポリアミド系の合成細繊維を優先候補として選定し、これらを使用した組紐の作製条件について検討した。
実際の使用を想定した機械的強度、耐有機溶媒性、耐熱性等についても確認し、これらの合成細繊維が本研究で使用を想定している各種条件下での継続使用に十分に耐えうる性能を超える高い性能を持つことを確認した。細繊維束の本数、作成時の張力などについて、異なった各種編み上げ条件において実際に作製した組紐は、それぞれ異なった形状ならびに外形を有しており、使用を想定している各種キャピラリーへの充填に際しても、抽出キャピラリーの性能に特に大きく影響するものと想定される内部空隙体積の大きさも含めて、これらの組紐が十分に目的に適合することを確認している。

今後の研究の推進方策

本研究計画2年目である次年度も、当初の研究計画に沿って、組紐型合成細繊維充填キャピラリーの性能評価を中心に研究を推進する。
組紐型抽出キャピラリーの評価に関しては、モデル溶質を含む水試料を抽出キャピラリーに通液した後、微量の有機溶媒等を用いて溶質を脱着させ、抽出キャピラリーの性能評価を行う。金属線を内部に入れた組紐型媒体では、その金属線に自作の電源装置から発生させた微弱電流を通電することによる、抵抗加熱脱着の条件についても検討する。一般的に、組紐をキャピラリーへ充填する際には、一定の機械的強度が必要であるが、本研究で開発する内部に他の特性を有する細繊維束を入れた組紐では、周囲を取り囲む組紐自体に十分な機械的強度があることから、内部に入れる細繊維の機械的強度は不要である。これにより、従来の細繊維平行充填型キャピラリーでは使用することが困難であった、多種多様な繊維状材料を組紐内部空間導入用として利用できる。また、一般にガスクロマトグラフィーの中空キャピラリーカラム用として使用されてきている、各種ポリジメチルシロキサン系液相コーティング処理、表面の誘導体化反応による表面官能基の導入などにより、細繊維表面自体の状態を変化させることもできることから、その抽出性能との相関について、モデル化合物の抽出実験を通して系統的に検討し、新規抽出媒体のデザインを行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Molecular Shape Selectivity for Polycyclic Aromatic Compounds on a Poly(benzoguanamine-co-melamine-co-formaldehyde) Stationary Phase in Reversed-Phase Liquid Chromatography2022

    • 著者名/発表者名
      SUMIYA Ohjiro、NAKAGAMI Koki、UETA Ikuo、SAITO Yoshihiro
    • 雑誌名

      CHROMATOGRAPHY

      巻: 43 ページ: 47~51

    • DOI

      10.15583/jpchrom.2022.001

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Porous Membrane-Assisted Purge and Trap Sampling for Determination of VOCs in Gas Chromatography with Needle-Type Extraction Device2021

    • 著者名/発表者名
      Ueta Ikuo、Komatsu Taiga、Fujimura Koji、Saito Yoshihiro
    • 雑誌名

      Chromatographia

      巻: 85 ページ: 7~12

    • DOI

      10.1007/s10337-021-04103-1

    • 査読あり
  • [学会発表] 逆相液体クロマトグラフィーにおけるPoly(4-vinylpyridine)固定相の保持挙動2021

    • 著者名/発表者名
      中神 光喜, 隅谷 王士郎, 清水 佳一, 植田 郁生, 齊戸 美弘
    • 学会等名
      第28回クロマトグラフィーシンポジウム
  • [学会発表] Poly(butylene terephthalate)およびPoly(4-vinylpyridine)固定相を用いたLCにおける芳香族化合物の分子形状認識2021

    • 著者名/発表者名
      中神 光喜, 隅谷 王士郎, 植田 郁生, 齊戸 美弘
    • 学会等名
      日本分析化学会第70年会
  • [学会発表] Poly(butylene terephthalate)およびPoly(4-vinylpyridine)をリガンドに用いたシリカベースLC固定相の芳香族化合物に対する分子形状選択性2021

    • 著者名/発表者名
      中神 光喜, 隅谷 王士郎, 植田 郁生, 齊戸 美弘
    • 学会等名
      クロマトグラフィー次世代技術セミナー2021
    • 招待講演
  • [学会発表] 逆相液体クロマトグラフィーにおけるPoly(butylene terephthalate)固定相の分子形状選択性2021

    • 著者名/発表者名
      中神 光喜, 隅谷 王士郎, 阿野 智樹, 柚木 孝太, 植田 郁生, 齊戸 美弘
    • 学会等名
      第32回クロマトグラフィー科学会議

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公開日: 2022-12-28  

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