研究課題/領域番号 |
21K05111
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小山 宗孝 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90221861)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 貴金属ナノ粒子 / 貴金属合金ナノ粒子 / 修飾電極 / ボルタンメトリー / 電気化学分析 |
研究実績の概要 |
本年度は、2種類の貴金属イオンが共存する水溶液中にニッケル線を浸漬する方法と、貴金属を段階的にニッケル線に修飾する方法について検討した。 まず、2種類の貴金属イオン共存系での検討においては、すでに成果を得ている金・パラジウムから発展させて、金・白金の一段階修飾について検討した。その結果、この系でも電子移動反応による表面析出を促進でき、低濃度イオンの水溶液を用いても短時間で金・白金合金触媒を表面修飾できることを明らかにした。また、この電極のエタノールに対する電極触媒特性に関して詳細に検討した結果、電気化学特性は金や白金の単体とは異なることや、多重掃引時の電流値の変化も合金特有のものであることがわかった。 段階的な修飾法については、これまでの検討において、ニッケル線をまず硝酸銀水溶液に浸漬して銀をニッケル表面に修飾し、その後、塩化白金酸イオン水溶液中で銀修飾ニッケル線を処理する方法により、電極表面に白金触媒を修飾できることがわかっていた。そのため、本年度は、まず、ニッケル線表面に銅を修飾したのちに白金を段階的に修飾することで、銀の場合と同様に白金の修飾を促進できないかを検討した。しかし、銅の場合は初段の銅の表面修飾がほとんど進行せず、その後の白金修飾でも顕著な変化は見られなかった。 しかし、別のアプローチとして、銅イオンと塩化白金酸イオンをともに含む水溶液中にニッケル線を浸漬する検討を行った。その結果、単純な浸漬法による修飾であるにもかかわらず、銅イオンが共存すると白金ナノ粒子がニッケル線表面に修飾できることが、表面のSEM像の観察とエタノールの電極触媒酸化電流計測の結果、明らかになった。また、この修飾法では、銅はほとんど析出しないこともわかったので、この一段階での修飾法は、ニッケル表面に白金を修飾する方法として有効と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究計画どおりに、2種類の貴金属イオンが共存する水溶液中にニッケル線を浸漬する方法と、貴金属を段階的にニッケル線に修飾する方法について検討をすすめ、それぞれで一定の成果を得ることができた。そのため、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究については、前述したように研究は順調に進展しているので、研究計画で述べたように、エタノールの電極触媒酸化以外の反応系での応用に関する検討や、ほかの貴金属合金系に関する検討、さらには、ニッケルマイクロ粒子への貴金属合金触媒の修飾についても研究を進めていく。また、銅イオンと塩化白金酸イオンなどの特定の組み合わせで進行する貴金属イオンの修飾についても、その機構や応用を含めて研究を展開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナのため、国際学会や国際共同研究のための旅費が使用できず、また、その状況は前年度にもあったために、昨年度までの計画でいただいていた科研費基盤Cも本年度まで延長していた。そのため、本年度は、まず前の延長した基盤Cの経費を有効に活用しつつ、本研究も進めたので、今年度の本基盤Cの使用額が少額になった。翌年度以降、旅費の状況はよくわからないが、計画して執行していく所存である。
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